日本株式 強気相場の賞味期限に注意

魅力的なバリュエーションを踏まえ、我々は2019年4月以降、グローバル資産配分で日本株式をオーバーウェイトとしてきた。だが、こうした割安感は薄れてきたとみている。とはいえ、企業業績は回復基調にあることから、今後3カ月は日本株式のポジションを減らしていた海外投資家の買いが続くと見る。2020
年のマクロ経済環境は引き続き予断を許さないものであるため、我々はポートフォリオを見直し、必要な調整を行うことを推奨する。

2019年 11月 15日
  • 魅力的なバリュエーションを踏まえ、我々は2019年4月以降、グローバル資産配分で日本株式をオーバーウェイトとしてきた。だが、こうした割安感は薄れてきたとみている。
  • とはいえ、企業業績は回復基調にあることから、今後3カ月は日本株式のポジションを減らしていた海外投資家の買いが続くと見る。
  • 2020 年のマクロ経済環境は引き続き予断を許さないものであるため、我々はポートフォリオを見直し、必要な調整を行うことを推奨する。

我々の見解

ここ3カ月間の日本株式は、主要株式市場の中で特に好調なパフォーマンスを見せ、株価は14%近く上昇した。この日本株式の上昇には、3つの要因がある。第1に、2019年7月2日付の日本株式レポート「G20での貿易摩擦緩和で上値開ける」の中で述べた通り、日本株式は予想株価収益率(PER)で見ても、配当利回りで見ても明らかに割安であったので(図表1参照)、貿易摩擦をめぐる懸念が後退するにつれて見直し買いが進んだ。第2に、米中貿易交渉の進展を受けて、日本株式のウェイトを大きく引き下げていた海外投資家の買い戻しも進んだ。9月27日付日本株式レポート「株価上昇の後のひと休みの時期」の中で述べたように、海外投資家は2012年12月のアベノミクス開始以来、日本株式を積極的に買い、累計買越額は2015年半ばには約21兆円に達したが、その後その大半を売り越している。しかし、この3カ月間で海外投資家は、現物・先物合わせて日本株式を約2兆5,000億円買い越しており、これが相場を押し上げたとみられる。第3に、最近の決算から日本企業の利益低下が底打ちしたことが示唆される。企業利益はここ1年半ほど減少が続いていたが、今後2~3・四半期後には前年同期比で成長率がプラスになると予想している(図表2)。

では、この相場上昇は今後も続くのだろうか?我々の見方はイエスとノーが入り混じっている。我々は日本株式にはまだ上昇余地があるとみている。企業利益の回復基調と米中貿易摩擦に対する投資家心理の改善を受けて、来年も海外投資家が資産配分を調整し、日本株式のアンダーウェイト幅を縮小する可能性が高いからだ。しかし、日本株式の12カ月先の業績予想に基づく株価収益率(PER)は13.5倍と、10年平均をやや上回る水準にある。さらに利益成長はプラスに転じるかもしれないが、回復ペースはまだ鈍い。図表2が示すように、最近の企業利益の落ち込みは2016年ほど深刻ではないため、急回復する可能性も低い。これらを踏まえ、我々は2019年度(2020年3月期)の当期利益を3%減益、2020年度(2021年3月期)は3%の増益と予想する。

さらに重要なことは、東京五輪終了後に民間および公的部門の需要が減退する等、2020年下期にかけて悪材料が予想されることだ。また安倍政権の軸足が憲法改正など他の政治目標に移る可能性もある。アベノミクスは日本経済を安定した成長軌道に乗せるほどの強さはなかったが、安倍政権は経済成長に重点を置き、インフレ率をプラス圏内に戻すことには成功した。さらに来年の米大統領選は、選挙の結果にかかわらず投資家の注目を集め、世界的な不確実性の要因になるだろう。大統領選の結果がどのような影響をもたらすかはまだ判断が難しい。トランプ大統領が再選されれば貿易摩擦は一段と激しくなるだろうが、民主党候補者が大統領に選出された場合は、ビジネス・フレンドリーな(企業に優しい)政策の実施は期待できないだろう。日米貿易協定は9月下旬の首脳会談で部分合意に達し、今後国会の承認を経て発効する。今回の部分合意では、米国が自動車セクターに影響が大きい工業品に対する関税を撤廃・削減する代わりに、日本は農産物市場について譲歩した。だが今回の合意には、日本側が求めていた自動車関税の撤廃は盛り込まれなかった。

結論としては、2020年はまだマクロ経済の不確実性が強いため、投資家にはポートフォリオを見直して必要な調整を行うことを推奨する。日本株全体として言えば、投資家はどこまでこの上昇が続くのかを警戒する必要もある。2019年に入り大きくアウトパフォームした(その大半は年初に大きく出遅れていた)銘柄を利益確定し、世界の金融市場で起こる次の波に備えてポートフォリオの再構築を検討する時期が来ていると我々はみている。

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