YEAR AHEAD 2020 選択の年/変革の10年が始まる

2020年は選挙、貿易摩擦、金融・財政における選択が迫られる『選択の年』となり、見通しの不透明感は高まるだろう。しかし同時に、投資家はこれより先の『変革の10年』も見据える必要がある。技術革新やサステナビリティ(持続可能性)により今後10年で生まれる勝者と敗者を見極める必要があるからだ。

19 11 2019

選択の年

2019年の世界経済は、米国、欧州、中国の減速で成長率が世界金融危機以来の水準にまで低下しそうだ。労働市場と個人消費は依然として比較的堅調だが、米中貿易紛争で企業の景況感が悪化し、固定資 産投資と貿易の伸びは軟化した。

我々の基本シナリオでは、2020年の成長率は潜在成長率を下回ると予想する。しかし、政策担当者、有権者、そして投資家にとって、 「選択の年」となる2020年の基本シナリオにおける、選択をめぐる不確実性は例年よりも大きい。

投資成果を左右する3つの 「選択」

1. 現状維持か変更か?

米国では来年に、そして英国では今年12月に選挙が実施される。人口高齢化時代における医療保険制度の在り方、所得格差の拡大、各国が密接に繋がる世界で国家が果たす役割、技術変革、環境問題など、さまざまな争点が存在する。候補者の二極化、問題の重大さ、米英の株式市場の時価総額などを考え合わせると、世界中の投資家が両国の選挙結果から何らかの影響を受けるだろう。それぞれの問題がどう決着するかによって、世界の趨勢が大きく左右され、各セクターの勝者と敗者が決まってくるだろう。米国大統領選挙の争点とその結果がもたらす投資家への影響については、 「米国大統領選挙はポートフォリオにどのような影響をもたらすのか?」(13頁)を参照されたい。

2. 合意に至るのか至らないのか?

米中の経済・技術面および地政学的な覇権争いにより、これまでの世界秩序が脅かされる状況が続いており、しばらくは解決しそうにない。世界の結びつきが弱まる「脱グローバル化」の時代にあって、米中貿易紛争は目先暫定合意に至ったとしても、2020年に再び対立が激化する可能性は十分にある。しかし、米中ともに緊張を緩和させたい重要な事情も抱えている。両国が発動済みの関税の引き下げまたは撤廃で合意に達し、これ以上の追加関税は行わ ないと表明した場合、世界経済の不透明感 は大きく低下し、投資への累積需要が顕在 化し、トランプ大統領は大統領選挙の年に 「勝利宣言」ができる。このトレンドにどう 対処するかについては「保護主義が台頭 する世界でどのように投資すればよいか?」 (18頁)を参照されたい。

3. 金融政策か財政政策か?

金利がすでにゼロ付近あるいはマイナス圏 にあり、伝統的な金融政策の効果が薄れる 中、経済成長を刺激する手段として財政政 策への期待が高まっている。一方、ねじれ状 態にある米国議会、厳しい財政ルールがあ るユーロ圏、債務抑制に配慮の必要な中国 とそれぞれに事情があり、いずれの国も 2020年に本格的な財政刺激策に打って出 るのは難しいだろう。しかし、低金利、低イン フレの状況が続く中、財政支出の役割を見 直す機運が高まっていることから、協調的な 財政・金融政策が打ち出されれば、我々の 成長予想も大幅に上方修正する余地が生 まれる可能性がある。ただし、そのためには、 政策担当者が現在の政策の見直しを迫ら れるような何らかの「ミニ危機」の発生が必 要かもしれない。こうした投資環境をどう考 えるべきかについては「低金利の景気サイク ル終盤でどのように投資すればよいか?」 (20頁)を参照されたい。

2020年の投資

結局のところ、こうした選択は金融市場が織 り込みづらい政治的決定となるため、リスク を取ることに消極的になる投資家も多いだ ろう。しかし、こうした政治的決定に影響を 受けにくい資産クラスを選択すれば、ある 程度自分のポートフォリオをコントロール することが可能となり、将来にも適切に備 えることができると考える。「選択の年」に 堅実なポートフォリオを構築するには、次の 投資判断が賢明だと考える。

  • 株式では、景気サイクル終盤の低金利環 境下において、優良な安定配当銘柄を推 奨する。さらに、投資先をグローバルに分 散しつつ、安定したリターンが期待 できる内需と個人消費関連の企業を推 奨する。一方、貿易や設備投資への依存 度が高い企業は、政治環境が好転しない かぎり高パフォーマンスは期待しにくい (23頁参照)。
  • 債券では、安全な債券の利回りが非常 に低く、ハイイールド債においてはクレジ ット・リスクが高まっているため、その中 間にある債券クラスを推奨する。新興国
    国債、欧州の「クロスオーバー(投資適 格債とハイイールド債の中間に位置 する債券)」銘柄、そしてアジアの優良な 発行体のハイイールド債を推奨する(27 頁参照)。伝統的な債券だけでなく、 サステナブル投資商品も検討することを 勧める。
  • その他、コモディティでは、景気変動の影 響を受けやすいコモディティよりも貴金 属を推奨する。通貨では、安全通貨と高 利回り通貨を組み合わせたバーベル戦略 (29頁参照)が、米ドルをアウトパフォー ムすると予想されるため、有効的と考 える。オルタナティブ資産では、市場全体 との連動性が低い低ベータ戦略を推奨 する。

自分のプランを選ぶ

大半の投資家にとって、2020年にお ける最適な「選択」は、政治的ノイズ (雑音)を排除し長期的視点から投資 することである。投資パフォーマンス の実現は適切な戦略的資産配分が 鍵となるが、投資家それぞれの投資 の成功は資産配分を個人的な目標 に合致させることが重要な鍵とな る。本レポートの全体を通じ、我々は 資産をLiquidity(流動性の確保). Longevity(老後への備え). Legacy(資 産承継の準備).の3つの戦略に配分 するアプローチを取り上げている。 このアプローチに関しては45頁を参 照されたい。

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