CIO Alert 出口戦略検討で株価上昇

コロナウイルス感染者数が200万人の大台に達しようとする中、投資家の関心はその増加よりも、経済活動の再開とその後の景気回復に向けられている。

2020年 4月 14日

S&P500種株価指数は14日(火)に3.1%上昇した。12.1%という歴史的な上げ幅を記録した先週に続く上昇で、現時点で3月23日につけた下値を27.2%上回っている。欧州株式も1.2%上昇し、下値から22.3%高い水準にある。

VIX指数で測る期待ボラティリティ(変動率)は、高値圏から下落したものの、長期平均の20に対して38と、依然として高い。しかしながら、コロナウイルス感染者数が200万人の大台に達しようとする中、投資家の関心はその増加よりも、経済活動の再開とその後の景気回復に向けられている。

先週見られた多くの好材料が、今回の株価上昇を下支えした。

  • 米国では、ニューヨーク州のクオモ知事が、感染拡大のピークに達したと発言した。死者数は安定し、先行指数である入院者数は危機が始まって以降で初めて減少した。クオモ知事は「我々がウイルスを制御しており、ウイルスが我々を制御しているわけではないことが示された」と語った。同知事はまた、感染拡大の第2波のリスクを軽減するために、都市封鎖の緩和を検討する際には、近隣の7州と地域的な連携を取る必要があるとも述べた。
  • イタリアでは、一部の店舗と企業に再開が許されたが、ロンバルディア州など北部の州は完全封鎖を維持している。直近3日間の検査での陽性率は平均9%ほどで、感染拡大のペースが減速していることが伺える。オーストリア、デンマーク、ノルウェーもイタリアに続き、来週にも、都市封鎖規制を施行から1カ月ぶりに緩和する方向だ。
  • スペインでは、建設や製造など一部の活動再開が認められたが、店舗やバー、公共スペースは少なくとも4月26日まで閉鎖が維持されるとみられる。同国は3月20日以降で新規感染者数は最低となった。ドイツでも新規感染者数が5日連続で減少している。
  • 週末にOPECプラスは、過去最大となる日量970万バレルの減産を5月から実施することで合意した。これは石油市場の価格に織り込まれていたが、サウジアラビア対ロシアの価格戦争を巡る先行き不透明感が和らいだことで、センチメントが幾分回復した。
  • 米連邦準備理事会(FRB)は、米経済を下支えするために、資金供給の規模と範囲を拡大し、最大2兆3,000億米ドルの融資を提供すると発表した。これによって社債価格が上昇し、米ハイイールド債と投資適格債のスプレッドは9日(木)以降、それぞれ32ベーシスポイント(bp)、20bp縮小している。

欧州首脳はここにきて経済活動の再開を検討し始めており、コロナ検査、感染経路追跡、マスク着用等が「出口戦略」につながりうるとの認識が広がっている。こうした直近の動きにより、欧州の一部、それに続き米国でも、中国のように経済活動が比較的迅速に「正常な」状態に戻る可能性があるとの楽観的な見方が高まっている。しかし、フランスは都市封鎖を5月11日まで、インドは5月3日まで延長を決めた。英国でも同様の措置を検討しているとされている。

足元の株式市場は総じて我々の基本シナリオをほぼ織り込んでいると考える。我々の見方では、欧州の感染拡大封じ込め策は5月中旬に、米国では6月初旬に解除されるが、年後半も一部の措置は断続的に再導入されるとみている。規制措置が解除されれば経済活動は再開されるが、回復は緩やかなペースにとどまり、2021年の経済活動や企業業績は2019年の水準には届かないだろう。先行き不透明な環境だが、株式市場全般の上値余地がさらに広がる材料としては、経済対策の効果が明確に確認される、各国政府が検討している「出口戦略」の詳細がさらに明らかになる、ワクチン・治療薬等が開発される、などの動きが考えられる。一方、相場下落リスクとしては、新規感染者集の急増、都市封鎖の延長決定、金融・財政刺激策が企業倒産や失業増を緩和できない、などの要因が挙げられる。

株式市場が急反発を見せたことで、投資を継続する重要性があらためて確認された。だが、相場全体の水準が我々の基本シナリオに近づいていることから、ここからはどの戦略により優れた投資機会が見出せるかを検討することを勧める。

現時点では、株式市場については銘柄厳選を勧める。リスク調整後リターンの点では、我々の悲観シナリオをかなり織り込んでいるクレジット市場の方が魅力的とみており、特に、米ハイイールド債、米投資適格債、米ドル建て新興国国債、グリーンボンドに好機が見出せるとみている。

とは言え、株式市場にも投資機会は残されている。上値余地を追求する投資家には次のような銘柄・セクターを推奨する。1)欧・米・スイスにおける売られ過ぎの銘柄、2)コロナでも業績が底堅い銘柄:生活必需品、ヘルスケア、グローバルな高クオリティー銘柄等、3)長期的な勝ち組銘柄:遺伝子治療、デジタル・トランスフォーメーション、オンコロジー(がん治療)、フードなど長期投資テーマ関連銘柄。

さらに、市場のさらなる下落を懸念する投資家には次のような戦略も有効だろう。1)高格付債、特に長期国債への戦略的(長期的)資産配分を増やす、2)ダイナミック・アセットアロケーション(機動的な資産配分の変更)戦略を加える、3)金の保有や元本確保型投資、といった戦略だ。またバリュエーションが相対的に割安で、ウイルスによる業績への影響が比較的限定的とみられるアジア株式にも投資機会があるとみている。

コロナの先行き不透明感から、株価が上昇しても二番底を警戒する投資家もいるだろう。しかし、投資から遠ざかる期間がさらに長引けば、その間に価格が上昇してしまうリスクがある。こうした市場で長期的なポジションを積み上げる一つの方法は、規則的な株式の分割購入である。リスクの高い資産を分割購入すれば、短期的な相場変動の影響を抑えることができる。

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