CIO Alert 米国株式3日続伸、経済対策を好感し

米上院が2兆米ドル規模の経済対策法案を可決し、欧州中央銀行(ECB)が7,500億ユーロ規模の緊急債券購入プログラムを柔軟に運用すると発表したことを受けて、世界の株式は26日(木)に続騰した。政府や中央銀行が予想を超える対応措置を示したことで市場は反発したが、ここからも投資を継続し、投資銘柄を選別することがより重要になってくる。

2020年 3月 26日

米上院が2兆米ドル規模の経済対策法案を可決し、欧州中央銀行(ECB)が7,500億ユーロ規模の緊急債券購入プログラムを柔軟に運用すると発表したことを受けて、世界の株式は26日(木)に続騰した。S&P500種株価指数は6.2%上昇。前2営業日で10.6%上昇しており、3営業日での上げ幅は1933年以降で最大となった。ユーロ・ストックス50指数は1.7%高で取引を終えた。今回の上昇によって、中央銀行の政策対応が、市場機能の回復、借り入れコストの安定化、ボラティリティ(相場変動率)の低下、流動性の支援で徐々に効果を発揮しつつあることが示された。

債券からコモディティ、外国為替に及ぶ様々な資産クラスで正常化の兆しが見られた。米ドルの下落によって、流動性逼迫が緩和されている可能性が示唆された。ユーロは対米ドルで1.5%上昇し、1ユーロ=1.104米ドルをつけた。英ポンドは2.7%高の1英ポンド=1.22米ドルとなった。債券市場は上昇した。米ドル建て新興国国債(EMBI)のスプレッドは、約40ベーシスポイント(bp)縮小して600bpとなり、1日のリターンは2.5%となった。金は0.7%上昇し、1週間の上げ幅は11%近くになった。これによって、資金調達のための換金売りは収まりつつあることがわかる。

最近の動きによって、S&P500種株価指数、ユーロ・ストックス50指数、MSCI新興国株価指数は、下値からそれぞれ17.6%、19.4%、10.3%上昇したが、世界の株式は2月につけたピークから依然として26.4%低い水準にある。

現在市場は、我々が先週のUBS House View Monthly Letterで紹介した基本シナリオを概ね織り込んでいる。我々の基本シナリオとは、欧米での新型コロナウイルスの新規感染者数が4月中旬頃にピークに達し、最も厳しい規制の解除が5月半ばから始まるというものだ。我々は、最近発表されたような協調的な財政・金融刺激策によって、痛みを伴う経済活動の停滞が持続的な景気減速につながることが食い止められ、結果的に今年第4四半期にU字型の景気回復が本格化すると予想する。

政府のウイルス感染封じ込め策が功を奏し始めた兆しが見られれば、株価上昇は数日続くだろう。イタリアでの新規感染者数が数日連続で減少していることはプラス材料だが、同国ロンバルディア州の最も感染拡大が深刻な地域では、感染者数が上昇しているという悲観的な兆候も見られる。米国では、3月21日終了週の新規失業保険申請件数が、これまでの記録の4倍である約330万件となったが、一部で恐れられていたほど悪くはなかった。また、トランプ米大統領は規制をイースター(4月12日)までに解除したい考えを述べた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、FRBの「弾薬が尽きることはない」と断言した。

今後数週間投資家は、雇用と企業を守るために、財政刺激策がどのように実施されるか、そしてウイルス感染拡大封じ込めの進展について、注視するだろう。これまでのところ、感染者数の上昇カーブがはっきりと下がってきているのはイタリアのローディと米ワシントン州だけである。我々の基本シナリオが実現するためには、欧州では来週のうちに、米国では2週間以内に、国家レベルでの成功が多く確認されなければならない。これから発表される経済データは歴史的に弱いものになるだろうが、景気浮揚の取り組みを考慮して、投資家は経済と感染に関する情報を重視する必要があるだろう。

対処法は?

政府や中央銀行は予想を超える対応措置を示したことで市場は反発したが、投資を継続することが重要だ。ここからは、投資銘柄を選別することがより重要になってくる。

  1. 魅力的な価格水準にある債券に注目:我々は債券市場、特に米ハイイールド債と米ドル建て新興国国債(EMBI)が、他の資産クラスに比べて我々の下落シナリオを十分に織り込んでいると考える。米ハイイールド債のスプレッドは960ベーシスポイント(bp)超と、同資産を購入するには非常に魅力的な水準にある。この水準の場合、過去の実績を踏まえると、2021年 の間に18 / 20事例の確率で投資家は利益を上げ、リターンの中央値は28%と試算される。EMBIの利回りは650bpを超えており、2000年以降の52事例すべてで、12カ月間のトータルリターンはプラスとなり、その中央値は13%であった。投資適格債では、ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)上の逆風になお見舞われているセクターがある一方で、売られ過ぎのセクターもあるため、銘柄選別が重要である。我々は、特にグリーン・ボンドに投資機会があると見ている。グリーン・ボンドは、市場が混乱している期間中は、他の債券よりもボラティリティ(変動率)が低く、下落幅も小さいと考えられるからだ。グリーン・ボンドは発行体がグリーン・ボンド原則(GBP)を遵守すると公約している点が他の通常債券と異なり、同一発行体のグリーン・ボンドと通常債券のパフォーマンスはあまり変わらない。だが、一般的に、グリーン・ボンド市場の方がセクターとリスク特性の保守性が強い。したがって、クレジット・リスクのプレミアムが上昇する局面ではアウトパフォームする可能性が高い。例えば、2月末から3月20日までの期間で見ると、グリーン・ボンドはグローバル投資適格社債のパフォーマンスを6%上 回った。
  2. 売られ過ぎの銘柄を厳選する:先行き不透明感は依然として強い状況が続きそうだ。米国では、激しい相場の変動を乗り切り、市場が持続的な回復を始めた場合には上昇する可能性のある優良企業に注目するよう勧める。アジアでは、MSCIアジア太平洋(除く日本)のバリュエーションが過去平均を大きく下回っており、オンラインゲームやeコマース、フードデリバリーなど、オンライン消費へのエクスポージャーを持つ銘柄への適切な投資タイミングとなるだろう。欧州では、中国での経済活動が正常化し始めているため、新興国へのエクスポージャーを持つ銘柄が、景気回復による恩恵を受けやすいと考えている。我々は、選別した生活必需品やヘルスケア関連銘柄も推奨する。規則的な株式の分割購入も検討できよう。
  3. 影響が少ない銘柄と長期的な勝者を探す:アジアでの5G展開など技術的ディスラプション(創造的破壊)へのエクスポージャーを持つ企業や世界の優良株など、コロナの感染状況による影響が比較的少ないと考えられる銘柄も有望とみている。
  4. 高いボラティリティを利用して、継続的な反発に備えたポジションを取る:多くの投資家は、ウイルス感染や刺激策に関する好材料が増える場合は、上値を意識してエクスポージャーを維持したいと考えるが、割安感が強まるまで株式の購入を待つだろう。1つの手段として、間接的に株式のエクスポージャーを保有することで、相場上昇時に利益が出やすく下落しても損失が抑えられるポジションを構築する戦略が検討できる。ここ数日の相場上昇スピードは、相場の急落時の資産売却を避け、投資方針を維持することの重要性を裏付けている。
  5. 割安な英ポンドを購入してパフォーマンス向上を図る:経済的な観点から見ると、英ポンドが現在のような非常に割安な水準にとどまる理由はほとんど見当たらない。最近の米ドルの急騰は純粋にテクニカル要因によるもので、投資家があらゆる資産を現金化しようとしたためにこの動きが加速した。英国経済の受ける打撃が、ユーロ圏経済や米国経済を上回ることはないだろう。英ポンドの潜在的な強さに対する我々の見方は変わっていないが、現在の米ドル高が解消されるためには、通貨市場が、何らかの形で、現在起きている流動性逼迫による影響を受けない市場環境に戻る必要がある。

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