アジアの都市は人口が多く、かつ人口密度が高いという特徴があり、世界で人口が1,000万人を超える28の「メガシティ」のうち16がアジアの都市です。国連は、アジアのメガシティの人口が2010年~2030年までの20年間で倍増すると予測しています。急激な都市化は所得の増加やライフスタイルの変化をもたらし、特にアジアの新興国ではインフラ整備の遅れや資源の不足を招いています。

アジアでは急激な都市化に対応するために、大規模なインフラ整備を進める必要があります。その結果、アジア全体で2025年まで年間2兆2,000億米ドルのインフラ投資不足が生じると国連は推計しています。

アジアの都市化には先進国に対するいわゆる「後発の優位性」があり、スマートエネルギーからスマートモビリティ、スマートヘルスケアに至るまで、スマートシティ技術に対する投資余地は非常に大きいと我々は見ています。アジアでは大規模で人口が密集した都市空間が無秩序に拡大しているケースが多く、こうした先進技術の拡張の余地は大きいでしょう。アジアの都市は様々なインフラや環境の問題に直面していますが、その多くは先進のスマートシティ技術の導入で徐々に解決されるものと期待されています。

アジアのスマートシティの市場規模
アーバニズムが機能するのは、それが実際の旅行先に
匹敵するような魅力的な旅を創り出すときだ
ポール・ゴールドバーガー – ピューリッツァー賞受賞建築評論家

中国

中国

巨大IT企業がスマートシティをけん引

中国ではアジア各国の手本となる政府主導のスマートシティ開発モデルが多く、トップダウンで開発の枠組み、導入ガイドライン、資金調達計画が策定されています。中国は第12次5カ年計画(2011-2015年)においてスマートシティ・プログラムに5,000億人民元を投じ、90以上の試験的なスマートシティを構築しています。2017年時点でさまざまな開発段階にあるスマートシティの数は500都市を数え、市場規模は約6,500億人民元と推測されます。

中国のスマートシティで使われている主な技術には、IoT、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、その他のスマートシステムなどがあります。中国のスマートシティモデルの特徴は、中国の巨大テクノロジー企業と緊密に連携し、国内のイノベーションを精力的に活用している点です。

これら企業が開発する技術は主に電子政府、スマート輸送、スマートライフに応用されており、様々なスマート・コンセプトを具現化しています。


インド

インド

スマートシティへの飛躍

インド政府の予測では2030年にはインドの都市人口は40%に、GDP寄与率は75%に上昇すると見込まれています。こうした大きな変化に対応するためには、物理的、制度的、社会的、経済的なインフラの大規模な整備・拡張が必要であり、その解決策としてスマートシティ開発がインドの未来に必要不可欠となります。

インド政府(都市開発省)は2015年、都市が抱える問題を解決するために「スマートシティ・ミッション」という壮大な国家プロジェクトを発表しました。これは国内100都市を選定し、都市の活性化、再開発、グリーンフィールド開発によりスマートシティ化を支援、開発することを目的とした取り組みです。


日本

日本

東京五輪を1つのショーケースに

東京は、少子高齢化と、成熟した国の経済の付加価値を都市がいかにして高められるか、という2つの大きな課題に取り組む「スマートシティ」の好例になると見ています。情報通信技術(ICT)は、東京を「スーパーシティ」に変え、東京に暮らす人々の都市生活の効率化や快適性向上を実現する鍵となるでしょう。もう1つの起爆剤は2020年に開催される東京五輪です。

安倍首相の「スーパーシティ」構想の下で、特定地域において集中的に規制緩和や税制優遇を行い、経済の活性化に取り組んでいます。具体的には、この「スーパーシティ」構想において、1)車の自動走行(当初はエリアを限定)、2)電子政府(ワンストップの政手続)、3)キャッシュレス決済(取引のデジタルプラットフォーム)という3つの主要技術が、近い将来、普及に向かうものと期待されています。


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