全世界の富は、好調だった2023年に続き、2024年も増加しました。しかし、増加の速度はすべての地域で一様というには程遠いものでした。北米の資産は11%増加するなど、寄与の過半が米州に由来するというように大きく偏っていました。通貨米ドルの安定、経済の上昇基調がその主な要因と考えられます。アジア太平洋地域(APAC)とヨーロッパ、中東及びアフリカ地域(EMEA)は水をあけられた格好で、それぞれ3%、0.5%の増加にとどまりました。
第16回目となるグローバル・ウェルス・レポートのハイライトは以下の通りです:
- 2024年、平均で最も資産を有しているのは北米の成人(593,347米ドル)で、オセアニア(496,696米ドル)、西ヨーロッパ(287,688米ドル)と続きます。
- 他方、調査を行った56市場のうち半数以上で、米ドル換算での成人一人当たりの資産はむしろ減少していました。
- スイスは引き続き、成人一人当たりの個人資産保有額でトップとなりました。米国、香港、ルクセンブルクがこれに続きました。
- デンマーク、韓国、スウェーデン、アイルランド、ポーランド、クロアチアでは、平均資産額において二桁成長となる大きな伸びを記録しました(各現地通貨で計算した場合)。
- 2024年、米ドルベースでのミリオネアの数は1.2%増加しました。前年比で684,000人を超える増加であり、米国では379,000人以上の新たなミリオネアが誕生しました。1日に1,000人以上のミリオネアが誕生したことになります。
- ミリオネアの人数が多かったのは、米国、中国、フランスで、特に米国には世界のミリオネアの約40%が居住しています。
- 過去25年で、世界の富は全体としても、また地域別に見ても着実な成長を遂げています。世界の個人資産は2000年来、年率で3.4%増加しています。
- これまで成人一人当たりの保有資産規模で最大の層であった資産10,000米ドル未満の層の人数が、資産10,000~100,000米ドルの層の人数に追い抜かれるという現象が、この10年で起きています。
- 本レポートでは、成人一人当たりの平均資産額は、米国、大中華圏、ラテン・アメリカ、アセアニアに牽引され、向こう5年でさらに増加すると予測しています。
EMILLI(「平凡なミリオネア」)の台頭
本年度のレポートでは、成長を遂げながらも見過ごされていたセグメントであるEMILLIs (Everyday MILLIonaires=「平凡なミリオネア」;資産が100-500万米ドルのミリオネア)に注目しています。このセグメントに属するミリオネアの人数は2000年比で4倍以上に膨れ上がり、2024年末で5,200万人となりました。
このセグメントが保有する資産の合計は107兆米ドルにまで拡大してきました。保有資産500万ドル超のセグメントの資産合計119兆米ドルに迫る勢いです。このセグメントの急成長の要因として、不動産価格の上昇や為替レートの影響が挙げられます。地域の差異こそあれ、このEMILLI層の長期的な成長トレンドは世界的にみられる傾向です。
資産配分、世代別資産感、資産移動
本レポートはまた、米国における世代間の資産配分の考え方の違いについても論じています。1981年以降に生まれた、いわゆるミレニアル層は耐久消費財や不動産資産に最も資産を配分する傾向があり、また未公開企業への投資にも積極的です。ベビーブーマー(1946年~1964年生まれ)は純資産83兆ドルを有し、ジェネレーションX(1965年~1980年生まれ)やサイレント・ジェネレーション(1945年以前生まれ)、ミレニアルと比べ、その保有資産額は突出しています。また、資産配分は地域によって大きく異なっていました - 本レポートで取り上げているところでは、米国は金融資産、オーストラリアは不動産、シンガポールでは保険や年金への配分が最も多いという違いがみられました。
今後20-25年を展望すると、83兆米ドル以上の資産が移動(相続)すると考えられています。このうち9兆米ドルが水平(配偶者へ)移動し、74兆米ドルが次世代へと引き継がれます。最も多額の資産の移動が予想されるのは米国(29兆米ドル超)で、ブラジル(約9兆米ドル)、中国(5兆米ドル以上)と続きます。
イクバル・カーン(UBS グローバル・ウェルス・マネジメント部門 共同最高責任者)
「経済が急激に変化し、ボラティリティが高まり、これまで経験したことがないような市場の推移がみられる時代に、資産形成の動向や要因を理解することはこれまでにも増して重要になっています。第16回目となるグローバル・ウェルス・レポートで弊社は、世界50を超える市場における資産の形成と配分について明確で詳細なデータ、そして今後起こりうることについての意義深い洞察をご提供しています。」
ロバート・カロフスキー(UBS グローバル・ウェルス・マネジメント部門 共同最高責任者)
「世界中で富が拡大することが予想されている中、変化に富み複雑な金融環境において資産を管理する能力は一層重要になってきました。戦略的な知見と専門的な助言が求められます。世界中に拠点を有し、一方で各地域に深く根差すUBSが、お客様が機会を捉え、的確な情報に基づく判断をし、ご資産を安全に次世代へと引き継ぐお手伝いをいたします。」
ポール・ドノバン(UBS グローバル・ウェルス・マネジメント部門 チーフ・エコノミスト)
「『ウェルス』は単に経済的の指標であるにとどまらず、今や社会的、政治的な影響力を持つに至ったと言うことができるでしょう。資産がどのように配分され移動するかに応じて機会や政策、ひいては社会の発展が形作られるからであり、公的債務が増大するこの第4次産業革命の時代を生き抜くうえで重要な指針なのです。今年度のレポートでは、資産所有権の先進的な移動、とりわけ女性の影響力の高まりと長期的資産の変わらぬ重要性が特に目を引きました。」
グローバル・ウェルス・レポートについて
グローバル・ウェルス・レポートは過去16年にわたり富裕層個人の資産についての考察を提供し、今や世界の富の形成に関心を寄せる人々の重要な参考文献となりました。本レポートで結果を報告している最新の調査では、世界の個人資産の92%以上をカバーする56の市場で調査を行いました。
UBSについて
UBSは真にグローバルなウェルス・マネジメントのリーダーであり、スイス国内有数のユニバーサル・バンクです。アセット・マネージャーとして多岐な運用ソリューションを提供し、また、専門的な証券事業を擁しています。クレディ・スイス買収を経て、2024年第4四半期現在の投資預かり資産は6.1兆米ドルに上ります。UBSは、お客様に個別に提供される投資アドバイスやソリューション、投資商品を通じて、お客様が投資目標を達成するためのサポートをしています。スイスのチューリッヒに本拠を置くUBSは、世界の主要金融センターを含む50以上の市場で事業を展開しています。UBSグループAGの株式はスイスおよびニューヨークの各証券取引所に上場されています。日本においてはUBS証券株式会社、UBS銀行東京支店、UBSアセット・マネジメント株式会社、UBSジャパン・アドバイザーズ株式会社、UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント株式会社の五法人を通じて、法人、機関投資家及び富裕層個人のお客様向けに様々な金融商品とサービスを提供しています。
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