• ドル円相場は、昨年の米ドル安トレンドから切り返したものと考える。米ドルは年後半には円に対して緩やかに上昇するものと予想し、2021年6月末の予想を105円、9月末を106円、12月末および2022年3月末を107円とする。
  • 世界的な景気回復と安全資産としての円の需要後退を背景に、2021年は円が主要通貨をアンダーパフォームすると予想する。

2020年の下落トレンドから反転

昨年米ドルは円に対して下落基調をたどったが、今年年初からは103~106円のレンジ内での推移が続いている(図表1参照)。広く米ドル安が進んでいるものの、年初からのドル円の値動きは、2021年は米ドルが円に対して横ばいから上昇に向かうとの我々の見方を裏付けると考える。

米国議会のねじれが解消し、大規模な財政刺激策への期待が高まったこともあって、米国債利回りが上昇し、飽和状態の米ドル売りポジションの解消が進み、年初から円に対して米ドルが上昇している。とは言え、大規模な財政刺激策の早期成立の期待が広がるものの、米連邦準備理事会(FRB)は金融緩和策の縮小を考えるのは時期尚早であると述べている。FRBは米金利の上昇を容認しない姿勢を示しているため、ドル円の短期的な上昇余地は限られるだろう。以上のことから、6月末のドル円予想である105円は妥当な水準だと考える。

年後半は、米ドルが107円に向けて緩やかな上昇に転じると予想する。1つ目に、世界経済の堅調な回復から安全資産としての円の魅力が薄れ始め、円が調達通貨として利用されるようになることだ。2つ目に、米国の経済成長とインフレ指標の力強い上昇を受けて、ハト派姿勢を維持するとのFRBの公約を市場が「試す」展開がありうる。これが円に対して米ドルを幾分押し上げる可能性がある。こうした背景から、我々は2021年9月末、12月末、2022年3月末のドル円予想を106円、107円、107円に据え置く。

投資見解

  • 世界的な景気回復と安全資産としての円の需要後退を受けて、2021年は円が主要通貨をアンダーパフォームすると予想する。
  • ドル円相場が102円に向けて下落すれば、日本のアセットマネージャーが外債投資の積み増しに動く一方、107円を超えて上昇する場面では、日本の輸出業者が為替ヘッジを活発化させるだろう。
  • 予想を上回るスピードで米国景気が回復に向かう場合、米金利が大きく上昇し、日米金利差が拡大してドル円は110円に向かう可能性もある。一方、各国市場で急激にリスクオフ・ムードが広がれば、一時的に100円台を割り込む展開もあり得る。

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