日本株式 第二の回復の波に乗る日本株式

日経平均株価は現在、23,000円前後で推移している。3月から4月に見られた株価回復の第一弾は明らかにハイテク銘柄主導だったが、コロナ後の次の上昇局面は、ハイテク銘柄以外がけん引役になるとみており、景気に敏感な製造業や一般消費財が市場をアウトパフォームすると予想する。

by 居林 通、小林 千紗 2020年 8月 21日
  • 日経平均株価は現在、23,000円前後で推移している。3月から4月に見られた株価回復の第一弾は明らかにハイテク銘柄主導だったが、コロナ後の次の上昇局面は、ハイテク銘柄以外がけん引役になるとみており、景気に敏感な製造業や一般消費財が市場をアウトパフォームすると予想する。
  • 4-6月期決算発表からは日本企業の業績回復の兆しが見えてきた。我々は今回、基本シナリオにおける2020年度の利益予想を従来の-1.0%から-4.5%に引き下げるものの、2021年度については+30%から+41%に上方修正し、力強い業績回復を見込む。
  • だが短期的にはリスク要因もある。米大統領選の結果によっては各国市場のボラティリティ(価格変動率)が高まり、それが日本市場にも波及する可能性がある。しかし、それで相場が下落する局面があれば、長期的に見て魅力的な投資タイミングになるだろう。

我々の見解

日本株式が最初に回復し始めたのは、各国の株式市場と同じく3月中旬だった。我々は、3月2日付の日本株式レポート「押し目買いに備える:下値は限定的」と3月17日付の日本株式レポート「日本株が売られすぎである3つの理由」で、日本株式のポジション維持を推奨した。その後5月29日付の日本株式レポート「今後6カ月の上昇余地は限定的」で、市場に対して慎重な見方に転じた。日経平均株価は底値から35%以上値を戻し、7月初旬には23,000円をわずかに抜けたのち、日本株式の上昇は一服し、それ以降、日経平均株価はボックス圏で推移している。

日経平均株価は現在、23,000円前後で推移している。3月から4月に見られた回復第一弾は、明らかにハイテク銘柄主導だったが(図表1参照)、コロナ後の次の上昇局面は、ハイテク銘柄以外がけん引役になるとみており、景気に敏感な製造業や一般消費財が市場をアウトパフォームすると予想する。

我々は、次の3つの理由から、日本株式市場が次の上昇局面に入り、インターネットやハイテク以外の銘柄がそのけん引役になると予想する。

第1に、ワクチン開発が予想よりも早いスピードで進展していることだ。8月10日付のグローバル・リスク・レーダー最新号で、「基本シナリオでは、全国規模のロックダウン(都市封鎖)が再実施されることは想定していない。ワクチンが2021年4-6月期以降、広く行き渡る見込みであり、感染拡大は緩やかな活動制限で対処可能な水準に抑えられるとみられる」と述べた。ワクチンが広く一般に行き渡れば、ハイテク以外の銘柄における投資家の関心は、短期的な需要減退から、今後2年間の長期的な経済活動の回復へとシフトしていくだろう(図表2参照)。日本ではここ数週間、新規感染者数が減少していることもまた追い風である(図表3参照)。加えて、多くの景気敏感株や一般消費財銘柄の株価資産倍率(PBR)や株価収益率(PER)が直近10年の最低水準で推移するなど売り込まれており、ここから見直される公算が大きい。ワクチンの実用化が市場の転機になると考えている。

第2に、日本企業のバランスシートは立ち直りが早く、金融機関や政府も営業キャッシュ・フローの悪化に直面する企業の支援に向けて手厚い対策を実施している。さらに重要な点として、4-6月期決算発表からは日本企業の業績回復の兆しも見えてきた。1-3月期は多くの日本企業が新型コロナ関連の損失(見込み)を計上したため、純利益がゼロ近くにまで落ち込んだ。しかし、5月25日の緊急事態宣言の解除後は、経済が緩やかに回復し始めており、4-6月期の純利益は1-3月期を上回った。

我々は全国規模のロックダウンが再実施されるとは予想していない。我々は今回、基本シナリオにおける2020年度の利益予想を従来の-1.0%から-4.5%に引き下げるものの、2021年度については+30%から+41%に上方修正し、力強い業績回復を見込む。図表4の通り、日本企業の業績は急激な落ち込みによるベース効果と需要回復を追い風に、今後4・四半期にわたりほぼV字回復を遂げると予想する。

第3に、ハイテク以外の景気敏感株に復調の兆しが見えてくれば、海外投資家が再び日本株市場に参入してくるとみている。日本企業は世界経済の回復から恩恵を受けるとみられるため、ワクチンが広く行き渡り世界経済の回復がより鮮明になれば、海外投資家の日本株式への注目度が高まるだろう。海外投資家は年初から6兆円(約570億米ドル)以上の日本株式を売り越しており、それを日本銀行による5兆6,000億円の上場投資信託(ETF)買いが吸収している(図表5)。海外資金がいつ日本株式に回帰するかはまだ不透明だが、海外投資家がハイテク銘柄以外への投資比率を引き上ることとなった場合、日本株式に妙味が出てくるとみている。その時こそ、日本株式が次の上昇局面を迎えるものと考える。

だが短期的にはリスク要因もある。米大統領選の結果によっては各国市場のボラティリティ(価格変動率)が高まり、それが日本市場にも波及する可能性がある。また、足元では安倍政権の支持率低迷も懸念材料だ。とは言え、日本企業は新型コロナウイルスの影響にうまく対処しており、多くの景気敏感株は割安であると考えている(図表2参照)。よって、一時的なイベントにより相場が調整する局面があれば、長期的に見て魅力的な投資タイミングになるだろう。

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居林通

UBS証券株式会社 ウェルス・マネジメント本部チーフ・インベストメント・オフィス
ジャパン・エクイティリサーチ・ヘッド


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