• 2020年も超低金利が続く見通しである。こうした状況下では、質の高い安定的な配当を継続的に分配する企業に引き続き投資家の注目が集まるだろう。
  • 過去4カ月に渡る株価上昇にもかかわらず、日本株式市場の長期配当利回りは2.4%と高水準を維持している。国債利回りとのスプレッドも過去最高水準にまで拡大しており、魅力的な投資機会を提供していると考える。
  • 配当の質に注目する我々の投資戦略は、投資家に安定的なキャッシュ・フローを提供し、相場変動が大きい局面ではベンチマークを上回るパフォーマンスが期待できるディフェンシブな投資スタイルである。

我々の見解

米中の貿易摩擦は落ち着きを見せているが、経済活動は依然として低調で、地政学的な不透明性は高い状況が続いている。2020年も超低金利が続く公算が大きく、投資家による「イールド・ハンティング(利回り追求)」は今年も続くと考える(図表1参照)。配当の質に注目する我々の投資テーマでは、配当の継続性と安定性を重視する。世界経済を取り巻く不透明性を踏まえると、過去15年間安定した配当政策を維持している厳選した質の高い銘柄は、ベンチマークをアウトパフォームするだろう。こうした企業の多くは、業績やキャッシュ・フローが安定しており、バランスシートが健全である。

配当の質に注目する戦略のパフォーマンス

過去のデータを見てみると、配当の質が高い企業の株価パフォーマンスは、たとえば2008年の世界金融危機や中国ショック(2015年の人民元切り下げ)など、市場が大混乱に陥った時でさえも底堅さを示した(図表2参照)。TOPIXが2007年の天井から2009年の底まで60%近く下落した時にも優良配当企業の下落率は20%未満にとどまった。また、TOPIXが15%下落した2016年も、下落率はわずか3%だった。一方で、(ここ数カ月の上昇局面のように)株価が上昇基調にある場合はTOPIXと同等か、時にはそれ以上のパフォーマンスを上げている。 2019年は、特に米中貿易懸念が後退した年後半にかけても、このユニバースはTOPIXを上回った。これは、業績の底堅さに加え、安定した(必ずしも非常に高いわけではないが)配当利回りを継続している点が、超低金利環境の現代において投資家に評価されているからだと考える。この傾向は2020年も続くものとみている。

銘柄選択

我々は、配当の継続性と安全性に注目しており、過去15年間減配していない(もしくは減配が1回)企業を選好している。我々の投資テーマの配当利回りは、TOPIXの2.4%をやや上回る2.5%と魅力的でありながら、配当の見通しと安全性が高い。我々の日本株推奨リスト(EPL)の今後2年間の利益成長見通しは、市場ベンチマークよりも高く、1株当たり利益(EPS)成長率の中央値は12%と、市場全体の3%を凌ぐと予想される。このことから、EPLの株価はベンチマークを上回るだろう。EPLのセクターは分散されているため、継続的な配当政策と安定したキャッシュ・フローに支えられて、上昇局面ではベンチマークを上回り、下落局面では底堅く推移するとみられる。

リスク

この投資テーマのリスクは、世界的なリスクオフ・ムードから円高が進み、これが企業利益見通しと配当見通しに悪影響を及ぼすことである。また、貿易摩擦と地政学的な衝突も懸念材料である。

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