日本経済 コロナ禍による日本経済の変化

日本の経済活動が再開することから、民間の消費は5月に底を打つと考える。大規模な補正予算にも下支えられて、景気は今後徐々に回復に向かうと予想する。長期的には、今回のコロナ禍を契機に、さまざまな業界で新たなテクノロジーの利用が加速し、また健康や衛生への意識も高まるだろう。こうした新しい環境に適応できる企業とそうでない企業との差別化も進むだろう。

by 青木大樹、細野光史 2020年 5月 26日
  • 日本の経済活動が再開することから、民間の消費は5月に底を打つと考える。大規模な補正予算にも下支えられて、景気は今後徐々に回復に向かうと予想する。
  • 長期的には、今回のコロナ禍を契機に、さまざまな業界で新たなテクノロジーの利用が加速し、また健康や衛生への意識も高まるだろう。こうした新しい環境に適応できる企業とそうでない企業との差別化も進むだろう。
  • 政府債務残高の急激な増加により増税の可能性も意識される。企業は増税とさらなる経済ショックに備えて貯蓄を増やす可能性がある。貯蓄の増加にともない、長期的に低インフレが続く公算が大きい。

安倍晋三首相は25日、東京を含む残る5都道府県についても緊急事態宣言を解除すると発表した。ピーク時は1日当たり700人以上の新規感染者が確認されていたが、直近では50人を安定的に下回っていることを受けて、4月7日に発令された緊急事態宣言は、5月14日に39県で解除された。社会・経済活動の制限は、感染の第2波の兆候を慎重に見極めながら段階的に緩和される見通しである。我々は、全面的な経済活動の再開は7-9月期(第3四半期)になるものと予想しており、経済は年末から2021年第1四半期にかけて正常化するとみている。

人や企業の活動は5月第1週に底を打った後、回復に向かい始めている(図表1参照)。家計消費の戻りは緩やかだが、最近は累積需要や在宅勤務に伴う購入とみられる家電製品の需要が高まっている(図表2参照)。我々は、第2四半期の国内総生産(GDP)成長率は前期比マイナス5%~6%と大きく悪化し、回復は第3四半期にもつれこむと予想している。失業率のピークは4%~5%で、その後経済の正常化とともに緩やかに低下するだろう。だが、名目GDPがコロナ禍以前の水準に戻るのは早くても2021年で、コロナ後の新しい経済構造を踏まえると、失業率が2%近辺に戻ることはないかもしれない。

日本政府は、第2次補正予算を公表する。我々の予想では、事業規模は100兆円を超え、国などの直接の財政支出を伴う真水部分は約10兆~20兆円(GDP比2~4%)になるとみている。4月に決定した第1次補正予算と合わせると、事業規模は220兆円超、国債の新規発行額はGDP比7%相当の40兆円超に達する可能性がある(図表3参照)。国債発行については、日銀は10年国債金利の目標を0%近辺に維持しつつ、この程度の金額であれば十分に吸収できると我々はみている。日銀の黒田総裁と麻生財務大臣は5月22日、異例の共同談話を発表し、政府と日銀が連携して対策を実行し日本経済を支えていくと述べた。一方で、今年度は歳入に占める国債の割合(国債依存度)がGDP比10~15%程度上昇する可能性がある。

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青木大樹

UBS証券株式会社 ウェルス・マネジメント本部
チーフ・インベストメント・オフィス
日本地域最高投資責任者(CIO) 兼日本経済担当チーフエコノミスト


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