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·自動車業界は今、1世紀以上前に「モデルT」が製造発売されて以来の大変革期を迎えている。自動車産業を取り巻くほぼすべての分野でディスラプション(創造的破壊)が起きている。新興国市場では2019年に自動車販売が過去最低水準に落ち込んだが、来年には持ち直す見通しである。また、中国(2020年)、欧州(2021年)、そしてインド(2020年)など他の新興国では環境規制の強化が進んでいる。これらの要因が日本の自動車メーカーの追い風になるとみている。

2019年 12月 04日

出所: jack-woodward_unsplash

  • 自動車業界は今、1世紀以上前に「モデルT」が製造発売されて以来の大変革期を迎えている。自動車産業を取り巻くほぼすべての分野でディスラプション(創造的破壊)が起きている。
  • 新興国市場では2019年に自動車販売が過去最低水準に落ち込んだが、来年には持ち直す見通しである。また、中国(2020年)、欧州(2021年)、そしてインド(2020年)など他の新興国では環境規制の強化が進んでいる。これらの要因が日本の自動車メーカーの追い風になるとみている。
  • 2020年は自動車産業が次のステージに進む幕開けとなり、自動車メーカーと消費者の双方に今までにない変化が訪れるだろう。

我々の見解

自動車メーカーは、1世紀以上前に「モデルT」が製造販売されて以来の大変革期を迎えている。自動車産業を取り巻くほぼすべての分野でディスラプション(創造的破壊)が起きている。動力は内燃機関エンジンから電気エンジンへと転換が進み、運転主体も人間からコンピューターが制御する自動化へと変化しつつある。環境制御、安全システムからダッシュボードやラジオにいたるまで、現代の車には随所に先進テクノロジーが組み込まれている。こうした機能は確かにあれば便利だが、そのコストが車両価格を押し上げている。さらに、配車サービスやライドシェアの人気が高まり、車の保有に逆風となっている。

これは、製造面での急激な変化とあわせて自動車メーカーにとって大きな課題である。実際、現代の消費者は昔に比べてブランド名や車の機能へのこだわりが少なくなっているように思われる。その結果、自動車産業はよりサービス志向のビジネスモデルへと移行を迫られるだろう。これはかなり厳しい挑戦になりそうだが、自動車メーカーにとっては、高齢化が進む市場の潜在的なニーズに応えるビジネス機会にもつながる。

環境規制が強化され、テクノロジーの進化は市場に変革を迫り、消費者のニーズも変わりつつある。こうした潮流から取り残されないよう、自動車メーカーは、単に車をつくる会社から、次世代のモビリティカンパニーへと転換を図っている。この転換のキーワードは「グリーン」、「自動化」、「手ごろな価格」の3つである。日本の自動車メーカーはこの新しい時代にビジネスを成長させる絶好の立ち位置にあるとみている。例えば、世界最先端の水準にあるハイブリッド車技術を活用し、二輪車製品のラインナップを強化することで、中国その他の新興国市場へのさらなる進出拡大を果たすことができるだろう。ハイブリッド技術や二輪車・三輪車両は新興国が今後5~10年間に直面する社会的課題への有効なソリューションになりうるからだ。

日本の自動車メーカーの3つの強み

日系メーカーには競争優位をもたらす3つの大きな強みがあるとみている。1つ目は、ハイブリッドエンジンの開発・生産で世界をリードしてきたことだ。日系自動車メーカーの主要1社は、ハイブリッド車を中心に特許の使用権を無償提供すると発表した。特許技術解禁により同社とアライアンス(提携企業)は世界各国の環境規制強化から恩恵を受けられるだろう。

2つ目は、日本にはバッテリーや電気モーター、センサーを製造する世界有数の電子自動車部品メーカーが集結していることだ。次世代の車には、従来の車の10倍以上もの電子デバイスが搭載される。そのため、サプライチェーンとの距離が近い日本の自動車ブランドは、欧米の競合他社に比べて競争優位に立つとみられる。

3つ目は、世界的に高齢化が進む中、次世代の車には価格が手ごろでかつ運転しやすいことが求められることだ。日本は世界で最も高齢化が進んでいる国であり、また新興国市場で量産車の生産をリードしてきた実績もある。こうした日本のメーカーは再び、ハイテクを搭載した高品質、安全かつ価格が手ごろな自動車の業界標準になると考える。

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