私の髪にはやや白髪が交じっているが、世の中には親しみを込めてこれをス パークル(銀髪)と呼んでくれる人もいるのは嬉しいものだ。もし読者の中にもス パークルがある方がいれば、恐らく市場バブルを何回か経験したことがあるだ ろう。スパークルになるような経験から私が学んだのは、安い資金調達コスト、 投資のしやすさ、投機への意欲、そして技術的または政治的な「火花(スパー ク)」といった市場環境が、バブルに結びつきやすいということだ。今日は、こう した条件が存在している。

債券価格があまりにも上昇し、グローバル債券全体のおよそ4分の1はマイナ ス利回りで取引されている。某米電気自動車(EV)メーカーの時価総額は今 や、欧州、日本、米国に上場している主要自動車メーカーの合計よりも大き い。米国の新規株式公開(IPO)市場は20年以上ぶりの活況を呈しており、公 開初日のパフォーマンスは平均で40%に達するほどだ。特別買収目的会社 (SPAC)は、新規上場企業への投資家の需要を利用し、2020年には700億米ド ル以上を調達した。これは過去10年間の合計金額よりも大きい。また、ビットコ インの価格はわずか3カ月で4倍近くに上昇した。

昨年、我々は超低金利と政府の景気刺激策により、投資家は「株式に代わる 投資対象はない」という考え方を受け入れざるを得なくなるだろうと指摘した。 この考えは今や広く受け入れられるようになり、個別銘柄では投機的なバブル が発生している。しかし、すでに金融政策が緩和的になっているところに新た な財政刺激策が加わると、株式市場全体は債券よりもなお魅力的に見える。し たがって、我々はリスクオンのスタンスを維持する。

とはいえ、推奨銘柄については、2020年の勝ち組(とりわけ米国の超大型株) からバリュエーションの相対的に低い新興国株式へと重点を移す。さらに、ここ まで高パフォーマンスを上げてきた英国株式への推奨を中立に戻す。債券で は、低金利の継続を背景に米ドル建て新興国国債を、また米国以外の投資家 向けには、アジアのハイイールド債をそれぞれ推奨する。長期グロース株(成 長株)については、引き続き5G(第5世代通信)、フィンテック、グリーンテック、ヘ ルステックへの分散投資とプライベート市場への分散投資が、優れた投資機 会を提供すると判断する。

相場が永久に上昇し続けることはないことから、数カ月後には金融政策の反 転、株式のバリュエーションの上昇、パンデミック後の景気回復の遅れ、といっ たリスクに十分注意を払う必要が出てくる。

本レターのここからのセクションでは、現在の市場に見られるバブルの可能性 について我々がこれまで受けてきた主な質問にお答えする。わずか1年前は、 市場が暴落しようとする直前で、投資家は今日とは異なる課題に直面していた ように思われる。だが投資家は感情をコントロールし、分散投資を行い、慎重 に状況を監視する姿勢を維持すれば、資産を守り育てることができるだろう。

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