House View Weekly 米経済成長がリフレ・トレードを後押し

インフレ率が引き続き上昇しているが、上昇は小幅、且つ一時的なものにとどまりそうだ。経済成長の加速見通しは株式にとってプラスであり、シクリカル・セクターのアウトパフォームが予想される。

2021年 6月 07日

先週発表された経済指標からは、引き続きエネルギー価格の上昇を主たる要因としてインフレ率が上昇していることが示唆された。しかし、上昇は小幅、且つ一時的なものにとどまりそうだ。経済成長の加速見通しは株式にとってプラスであり、シクリカル(景気敏感)セクターのアウトパフォームが予想される。

今週の要点

バランスの取れた米経済成長がリフレ・トレードを後押し

先週のS&P500 種株価指数は、5 月につけた史上最高値までわずか0.2%の水準まで上昇した。4 日に発表された5 月の米国非農業部門雇用者数は55.9 万人増とコンセンサス予想の65 万人増には届かなかったものの、前月の27.8 万人増を上回り、増加ペースが加速していることが示された。だが市場の予想を下回ったことで金融緩和の早期縮小観測が後退し、市場に安心感を与えた。ISM サービス業購買担当者景気指数が上昇したことも、経済成長見通しを押し上げる要因となった。5 月の同指数は前月の62.7 から上昇して史上最高の64 を記録し、サービス消費が回復したことで米国経済が正常化しつつあることを裏付けた。供給不足により物価が上昇していることも同時に示唆されたが、経済再開に伴いビジネスが正常化するにつれて物価の上昇は沈静化すると我々はみている。また、バイデン政権が法人税率の上限を28%に引き上げる案を棚上げする構えが報道され、米国企業に歓迎された。法人増税案の棚上げは、バイデン米大統領が提案するインフラ計画に対する共和党の支持を取り付ける思惑が背景にあるものと思われる。

要点:経済情勢は、米国企業の業績予想に対する我々の強気の見方を裏付ける展開となっている。我々は、今年のS&P500 の1 株当たり利益(EPS)を40%増、2022 年については8%増と予想している。市場にはさらなる上振れ余地があるとみており、特にエネルギーや金融などのシクリカル・セクターがアウトパフォームすると予想している。

ユーロ圏のインフレは株価上昇の妨げとはならず

ユーロ圏の5 月のインフレ率は2%に上昇し、欧州中央銀行(ECB)の目標である「2%を下回るがこれに近い水準」を、2018 年以来初めて上回った。このインフレ上昇に、政策当局が金融刺激策の縮小を迫られ株式市場の上昇が脅かされると懸念する向きもあるかもしれないが、我々はそうした展開は予想していない。理由は主に3 つある。第1に、インフレ圧力は原油や原材料など一部の分野に限られているということだ。主な上昇圧力となっているのはユーロ圏のエネルギー価格で、前年比13.1%と大幅な上昇となった。変動が大きい食品とエネルギー価格を除いたコアインフレ率は、4 月の0.8%から5 月は0.9%への上昇にとどまった。失業者数が2020 年4 月比で130 万人増加していることなど、経済のたるみがインフレ波及のリスクを抑えていると考える。第2 に、わずかといえども物価上昇圧力が長期にわたって続く可能性は低いことだ。ブレント原油価格は足元で我々が目標とする1 バレル=75 米ドルに近い71 米ドル水準にあり、原油価格の急上昇局面は終わった可能性が高い。最後に、ECB のラガルド総裁が、政策当局は「一時的なインフレにとらわれずその先を見る」必要があると発言したことだ。この発言からECB は現行の金融緩和策を維持するとみられ、これは株式にとっては追い風である。ただし、債券にとっては向かい風となる。

要点:ECB をはじめとする各国中央銀行による金融緩和策の継続は、株式市場にとっては支援要因となる。しかし、債券利回りの追求にはマイナス要因となる。状況はこのようにまちまちではあるが、高配当株やプライベートクレジット等に投資機会があるとみている。米国以外では、アジアのハイイールド債も推奨する。

原油価格は支援要因が多く、エネルギー・セクターに引き続き投資機会

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国で構成するOPEC プラスは、減産幅の縮小について慎重な計画を遂行している。供給が抑制されている状況下、ブレント原油価格は先週、2019 年以降の最高値を記録した。我々はOPEC プラスがこの慎重な供給姿勢を今後も維持すると考える。OPEC 加盟国以外の産油国も増産を抑制しているため、減産により他の産油国に市場シェアを奪われることなく、原油価格の上昇を確保できるためだ。しかし、原油価格が今後も下支えされるとみる根拠は他にもある。ワクチン接種の普及により移動制限が解除、正常化しつつあり、それがエネルギー需要につながることだ。国内外の往来は徐々に正常化しており、世界の石油需要は来年には2019 年の水準を回復するだろう。供給サイドについては、米国のシェール企業は債務の返済と増配に注力しているため、早期に増産に動くとは考えにくい。また、石油メジャーに対しては再生可能エネルギー事業に投資するよう圧力が高まっている。

要点:原油は我々が推奨する資産の1 つであり、ブレント原油価格については1 バレル=75 米ドルを予想している。また、今年後半には世界経済の再開が加速するのに伴い、他のコモディティの需要も増大するとみている。投資家には原油と卑金属でリフレーションに備えたポジションの構築、および、産業需要が旺盛な貴金属への投資を検討することを勧める。エネルギー株も有望である。

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