House View Weekly バイデン新政権、景気回復を前面に

バイデン氏が先週、米国の第46 代大統領に就任した。バイデン大統領は就任演説で、新型コロナウイルスのパンデミックの収束、気候変動危機への取り組み、人種差別の解消などを喫緊の課題として言及した。バイデン大統領は就任初日に、トランプ前政権の政策を大きく転換させる大統領令に次々に署名した。

2021年 1月 25日

今週の要点

バイデン大統領の景気刺激策が景気回復の弾みに

バイデン大統領の就任を受けて米国では手厚い財政刺激策が打ち出されるとの楽観論が広がり、先週はS&P500種株価指数とナスダック100指数は史上最高値を更新して週を終えた。ただし、今月上旬とは異なり、最近の相場上昇はグロース株と巨大テクノロジー銘柄が主導している。世界各国で再び実施されているロックダウンと移動制限は2020年に巣ごもり需要の恩恵を受けた企業を下支えしているが、景気敏感株へのローテーションが終わったとは我々は考えていない。第一に、1兆米ドル規模の新たな財政刺激策が可決され、しかも、増税に先立って実施されることで、幅広い景気回復を下支えすると見込まれる。新大統領はワクチン接種の加速も目指しており、就任後100日で1億人へのワクチン接種を目標に掲げている。これが実現すれば、経済の正常化に一段と寄与するだろう。そうなれば新興国株式を含め、景気敏感株に有利に作用する。PBR(株価純資産倍率)で見ると、MSCI新興国株式指数はMSCI 米国と比べて長期平均を1標準偏差下回っている。パフォーマンスがISM製造業景況感指数に相関しているものの、業績の回復に遅れがみられるグローバル小型株も推奨する。新興国の中では、小型株はMSCI 米国とMSCIワールドの長期平均より2標準偏差以上低い水準で推移している。

要点:景気敏感銘柄を中心に、株式には引き続き上昇余地が見られる。

イエレン氏の米ドル安方針否定も、米ドル安基調は変わらず

次期財務長官に指名されたイエレン氏は指名公聴委員会で米ドル安による競争優位を目指すつもりはないと発言し、米ドル高について不満を述べることが多かったトランプ前大統領と一線を画した。ただし、論調が変化したからと言って中長期での米ドル安傾向に歯止めがかかるとは予想していない。金融緩和は続くとみられ、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は先日も「今は金融緩和打切りを検討する時期ではない」と改めて発言した。イエレン氏も大規模な財政刺激策に理解を示し、低金利を捉えて50年国債を発行する可能性について言及している。発行が現実となった場合、米ドルに下落圧力をかけてきた財政赤字と経常赤字が拡大するだろう。さらに、ワクチン接種の普及に伴い世界各国で景気回復が広がれば、ユーロなどの景気感応度の高い通貨、資源国通貨、英ポンドを下支えするだろう。アジアでは中国人民元、インドネシア・ルピア、インド・ルピーなどの高利回り通貨の需要も高まると考える。

要点:米ドルからの分散投資の検討を勧める。

バイデン大統領のCO2排出ゼロ政策がグリーンテックに追い風

バイデン大統領は2050年までに米国の二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロを目指し、気候変動問題への取り組みを開始した。先週は米国のパリ協定への復帰を定める大統領令のほか、環境に焦点を置いた他の大統領令にも次々に署名した。次期財務長官に就任するイエレン氏も、財務省は気候変動を抑えるために「大胆に行動する」と発言している。我々は政府による環境政策がグリーン企業への追い風となると予想している。特に3つのグリーン投資のテーマに注目したい。第一に、クリーンな大気と二酸化炭素排出量削減だが、このセクターについては、今後20年にわたり5~10%の年平均利益成長を生み出し、2040年までに58兆米ドル程度の投資が必要になると予想する。第二に、再生可能エネルギーのさらなる普及で、プロジェクト開発企業と風力タービンメーカーが最大の可能性を秘めている。最後に、電気自動車、自動運転、新たなカーシェアのコンセプトを含めたスマートモビリティを推奨する。これらの市場は2025年までに8~9倍の拡大が予想されている。

要点:サステナブル投資の検討を勧める。

深読み

バイデン新政権、景気回復を前面に

バイデン氏が先週、米国の第46代大統領に就任した。バイデン大統領は就任演説で、新型コロナウイルスのパンデミックの収束、気候変動危機への取り組み、人種差別の解消などを喫緊の課題として言及した。バイデン大統領は就任初日に、トランプ前政権の政策を大きく転換させる大統領令に次々に署名した。

大統領令に加え、新政権の政策の道筋に関するバイデン大統領とイエレン次期財務長官などの最近の発言は、この先の世界は債務が増大し、より持続可能になり、グローバル化が変容するという我々の見方を裏付ける。

公的債務よりも景気回復優先: バイデン大統領はパンデミック対策として1.9兆米ドルの新たな財政刺激策を発表した。イエレン氏も指名承認公聴会で、経済への恩恵が多額の債務負担のリスクを大きく上回るとして、議会に対し新型コロナウイルス対策に「おおきな行動をとる」必要があると呼び掛けた。(米国の公的債務は対GDP比で2019年末の約107%から2020年7₋9月期末には約127%に上昇している)。イエレン氏はバイデン氏の当初の重点課題は増税ではなく、新型コロナ救済策であると改めて強調している。

共和党と民主党の一部議員は米国の政府債務の水準に懸念を表明するとみられ、1.9兆米ドルの経済対策パッケージが全額可決される可能性は低いものの、今年は債務や財政赤字の削減について踏み込んだ対策が講じられるとは予想していない。一方、米連邦準備理事会(FRB)は金融緩和姿勢を急いで転換することはないと明言しており、当面、低金利は続くものと我々は予想している。低金利や新たな刺激策、企業業績の回復を踏まえると、足元の株価バリュエーションは妥当な水準にあるとみられ、景気に敏感な銘柄、セクター、市場に魅力的な機会があると考える。

グリーンなテーマを推進: バイデン大統領は2050年までに米国のCO2排出量実質ゼロを目指し、気候変動問題への取り組みに着手した。先週は環境政策を重視した他の大統領令とともに、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰する大統領令に署名した。財務長官に指名されたイエレン氏も財務省は気候変動を抑えるために大胆に行動すると発言している。各国政府と産業界が気候問題を重視する姿勢を強める中、サステナブル投資がアフターコロナの世界で恩恵を受けると我々は考えている。グリーンテック関連企業は「The Next Big Thing(ザ・ネクスト・ビッグ・シング)」-次の主要テーマの1つとして注目される。

同盟は強化するも中国への強硬姿勢は崩さず: バイデン大統領は就任式で同盟国との関係改善を約束したが、中国との関係については具体的に言及しなかった。だが、バイデン大統領は過去に、中国に課している関税を早期に撤廃しない考えを示唆している。さらに、イエレン氏も貿易と補助金に関する中国の不公正慣行に対抗すると強い姿勢を示している。ブリンケン次期国務長官は先週、「中国について超党派の政策」を支持し、方法に違いはあるものの、トランプ前大統領が中国に「強硬姿勢で臨んだのは正解だった」と発言した。

米国の対中政策は前政権に比べて予想可能性が高まるとみられるが、両国関係は緊張をはらんだ状態が続くだろう。中国は引き続き国内改革を推し進め、テクノロジーの内製化に注力していく。米中のハイテク分断により、世界の二極化が進むと予想される。よって、テクノロジーセクターでは世界的な分散投資の重要性が高まるだろう。

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