今週の要点

下落に備えた防御策の重要性

先週は米国株式が2.3%、世界の株式が2.4%、ユーロ圏株式が3.1%下落した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は「景気の回復には想定以上に時間がかかるだろう」と述べた。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長も、あまりに早期に経済活動を再開すれば「かえって景気回復を遅らせる可能性がある」と警告している。韓国のソウルでは新たな感染者が150人以上に上り、中国の吉林市でも感染が再拡大して再び移動制限が発令された。米中の対立も再燃している。米国は中国のファーウェイと取引を希望する世界の企業に米商務省のライセンス取得を義務付ける輸出規制強化策を発表した。米上院は新型コロナの感染拡大に関して中国の説明に透明性が欠ける場合、同国に制裁を科す権限を米大統領に与える法案をまとめた。さらに、米国の連邦年金基金は中国株式への投資計画の延期を表明した。不確実性が高い状況が続いているため、投資家には投資を継続しつつ、下落からポートフォリオを守る手段も検討することを勧める。具体的には、金や物価連動国債(TIPS)、ダイナミック・アセットアロケーション(機動的に資産配分比率を変更する戦略)、元本保全戦略などが有効とみる。他国に先行して景気回復が見込まれる中国を含め、世界的な分散投資も重要と考える。

要点:分散投資に加え、金、物価連動国債等を検討して株式市場の下振れ余地からポートフォリオを守ることが重要である


低金利の中でポートフォリオの利回りを改善する

FRBのパウエル議長は、マイナス金利は政策ツールとして検討していないとの見方を示した。FRBが米国の金利をマイナスにする可能性は低いが、低金利は明らかに長期化する見通しである。こうした環境下では、ポートフォリオの利回りを高める戦略を検討する必要が出てくる。米国ハイイールド債の足元のスプレッド(米国債との利回り差)は778ベーシスポイント(bp)と魅力的であり、新型コロナに伴うリスクを補う水準にあると考える。米ドル建て新興国国債のスプレッドは579bpである。アジアの投資適格債(特にBBB銘柄)のスプレッドは2008年以降で最大となっている。

要点:低金利が長期化する見通しであることから、現金や高格付債券へのエクスポージャーを見直し、低格付債券などリスクが高い資産も選択肢に入れるとよいだろう。

テクノロジー銘柄の分散化

米国のテクノロジーセクターはパンデミックの影響をさほど受けておらず、幅広い銘柄で構成されているS&P500種株価指数は年初来で11%下落しているのに対し、ハイテク株比率が高いナスダック指数は0.5%上昇している。相対的なアウトパフォーマンスは投資家がこのセクターに「避難」していることを示唆しているとみており、短期的には米国のITに慎重姿勢を取る。リターンの集中が懸念されるからである。アップルとマイクロソフトの2社でこのセクターの時価総額の42%近くを占め、この2つの大型株がなければ、ITセクターは年初来5%下落していた。バリュエーションも新型コロナ感染拡大前の高値に近く、割高といえる。IT支出の見通しも弱まっている。しかし一方で、今回のアウトパフォーマンスは、ITセクターが新型コロナの感染拡大によって加速した長期トレンド等の恩恵を受けていることも一因であると考えられる。オンライン・ショッピングを利用する消費者や、デジタル化投資を拡大する企業が増える中で、デジタル・トランスフォーメーションの潮流を背景としたフィンテック、eコマース、実現技術(イネーブリング・テクノロジー)などの長期投資テーマへの分散投資が有望とみる。新型コロナ感染拡大を契機に加速したテーマにはフード(食料)も含まれる。代替肉の1-3月期(第1四半期)の投資額(9億3,000万米ドル)は昨年の年間投資額を上回った。

要点:大型ハイテク株の上昇が一巡した後は、デジタル・トランスフォーメーション、食料革命、その他新型コロナウイルスの感染拡大により加速した他のトレンドなど長期テーマに分散投資することを勧める。

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