House View Weekly 合意なき離脱の可能性は低下

英国の欧州連合(EU)からの離脱の最終的な結末は明らかになっていないが、先週は大きな進展があり、10月末か今後6カ月以内に合意なき離脱に至るリスクはこれまでよりも低下した。

21 10 2019

今週の要点

1. ブレグジット:膠着状態は続く

英国議会は19日、異例の週末審議を実施し、欧州連合(EU)と合意した新た な離脱案についての最終決定を実質的に延期する修正案を322対306の過 半数で可決し、離脱案の採決を先送りした。先週は英ポンドが大きく動いた が、英国のEU離脱(ブレグジット)をめぐり事態がどう展開するかにより、ボラ ティリティ(相場の変動)が一段と高まる可能性がある。我々は現時点で3つの シナリオがあると考えている。1つ目は総選挙を経て合意に達するというもの。 このシナリオの場合、英国が求める離脱期限の延長にEUが同意すると我々 は予想している。ただし、EUは英議会の動向を見極めるため決断を急がない だろう。ジョンソン英首相は10月末離脱の実現をあきらめておらず、必要な立 法手続きを加速する構えだ(訳注:英議会下院は22日、離脱関連法案の早期 成立のための動議を否決した)。しかし、首相が成功するかどうかにかかわら ず、我々は年内に総選挙が行われると予想する。投資家がこうした見通しの 行方を見極めようとする中、英ポンド/米ドル相場は1.26-1.32のレンジで推移 するだろう。2つ目のシナリオはこの離脱案が英議会で最終的に可決されると いうものだ。この場合、英ポンド/米ドル相場は1.35に上昇すると予想される。 それ以上の水準では、長期的な貿易関係をめぐる懸念が高まり、英ポンドの 上値は重くなるだろう。3番目のシナリオは合意なき離脱である。10月末また は今後6カ月以内に合意なき離脱に至るリスクは以前より低下した。よって、 もし合意なき離脱という事態になった場合、英ポンド/米ドルは1.12に下落する 可能性がある。

要点:我々は引き続き米ドルに対して英ポンドをオーバーウェイトとする。

2. 米企業業績:鈍化するも、大幅減益にはならず

米国では先日、企業の7-9月期(第3四半期)の決算発表が始まり、現時点 で、時価総額でS&P500種株価指数を構成する企業の20%が発表を終え た。コンセンサス予想は前年同期比4%減益を予想している。マクロ環境の 悪化を受けて利益の伸びは鈍化したとはいえ、この予想は悲観的過ぎると みており、我々は2%減益を予想している。第3四半期の利益成長は四半期 ベースでは2016年以降初めて前年同期比マイナスになる見通しだが、同四 半期が底になる可能性が高い。指数レベルでの利益の伸び悩みも、「典型 的な」米国企業の収益性の高さを見えにくくしている。業績不振はエネルギ ー、素材、テクノロジーなど一部の業種と一部の大型株に集中しており、平均 的なS&P500種企業の利益は4~5%増益となる見通しである。さらに、生活 必需品と消費財セクターは消費者の良好なファンダメンタルズ(底堅い労働 市場と賃金の伸び)に支えられており、堅調な伸びが続くとみられる。

要点:第3四半期の業績はセクターによって明暗が分かれそうだが、投資家 は米中貿易交渉の妥結を期待しており、下振れ余地は限られるだろう。我々 は米国の消費財、通信サービス、生活必需品セクターを重視する。

3. 低調な指標を受けてFRBに金融緩和余地

先週発表された米国の小売売上高は予想に反して7カ月ぶりに減少し、米国 の消費者の間に景気減速の影響が出始めたとの懸念が広がった。1つの統 計を深読みすることは賢明ではないが、景気への潜在的リスクを考え合わ せると、米連邦準備理事会(FRB)が10月30日に利下げを行うとの我々の見方 が裏付けられたと言えよう。9月の米国ISM製造業景況感指数は47.8と製造 業の景況感は低迷しており、先週発表されたFRBのベージュブック(地区連銀 経済報告)でも見通しの悪化が指摘された。来年の世界の経済成長率は3% 程度と、2009年以降で最低水準に低下する見通しである。加えて貿易摩擦も 解消しておらず、設備投資が急激に回復する可能性は低い。FRBが利下げす れば株価の下振れ余地は抑えられるものの、貿易摩擦をめぐる動向が明ら かにならない限り、上振れ余地も限られるだろう。この環境下では、キャリー (金利収入)戦略を引き続き推奨する。

要点:我々は米ドル建て新興国国債、一部の高利回り新興国通貨、欧州投 資適格債をオーバーウェイトとする。



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