House View Weekly 長期化する米中貿易紛争に新たな展開

今年は、米中貿易紛争と米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の動向が市場を支配してきた。G20首脳会議での米中首脳会談で両国が一時休戦入りし、FRBによる利下げ観測が高まると、6月と7月は世界の株式が上昇した。しかし、その後株価は一時6%も下落し、現時点では7月につけたピークを3.5%下回っている。

12 8 2019

今週の要点

1. 当面は、強気相場は貿易摩擦にも耐えうる見通し

中国政府は米国との貿易紛争で歩み寄る兆しを見せておらず、トランプ米大 統領が表明した追加関税への対抗措置として、米国からの農産品の購入を 一時停止すると発表した。我々の現在の基本シナリオでは、米国は、公表通 り3,000億米ドル相当の中国製品に9月1日から10%の関税を課すと考えて いる。現時点で、トランプ政権は追加関税発動の準備が整っている模様だ。 実際に発動となれば、経済成長と企業収益の双方に悪材料となる。今回の 関税対象品目は、スマートフォンやパソコンなど、中国のシェアが高いものが 多く、米国が代替調達先を探すのは難しい(訳注:米通商部は13日、一部製 品への発動延期を発表)。ただし、トランプ政権がさらに25%まで関税を引き 上げるとは考えにくい。来年11月の大統領選を前に、米国が景気後退に陥 るリスクが大幅に高まるからだ。もしそうなれば、米国株式は10‐15%以上下 落すると予想される。

要点:貿易摩擦再燃で経済成長が押し下げられると予想するが、景気後退を 招くとは考えていない。ユーロ圏市場は米国よりも企業の景況感と輸出が低 迷しているため、米国株式に対して欧州株式をアンダーウェイトとしている。

2. 中国が競争力強化のため人民元を切り下げる可能性は低い

人民元がほぼ11年ぶりの安値圏に下落し、米国は中国を「為替操作国」に 認定した。人民元の動きと米財務省の認定で米中の対立は一段と深まった が、これが競争力強化に向けた意図的な通貨切り下げの始まりになるとは 考えていない。2016年に人民元の予想外の下落を容認したときに、資金が 大幅に流出し、市場が混乱した当時の記憶が中国政府には残っている。市 場実勢にあわせて元安が緩やかに進むと予想され、人民元に対してヘッジ の継続が必要であるとの見方に変わりはないが、中国人民銀行は人民元の 「基本的な安定」を維持すると表明しており、大幅な下落は予想していない。

要点:我々は今後3~6カ月の米ドル/人民元の予想を7.2に変更したが、同期 間に7.3が試される可能性も排除しない。こうした状況下では、安全通貨とさ れ、長期的に上昇が見込まれる日本円を引き続き推奨する。

3. 債券利回りの低下で高まるキャリーの魅力

米連邦準備理事会(FRB)に追随するように、インドやニュージーランドなど各 国中央銀行が先週相次いで利下げを決定し、国債利回りの低下が続いた。 この結果、米国30年債の利回りは過去最低水準近辺まで低下し、オーストリ アの100年債の年初来リターンは60%台にのぼっている。マイナス金利とな っている世界の債券の規模が12.5兆米ドルを超えており、短期的にはプラス のキャリー収入が見込める戦略を推奨する。低金利が長期化する可能性が あるだけに、資産目標の達成確率を高めるためには、中長期的な対策を検 討することも必要である。手元資金を過剰に保有すれば、リターンの足かせ となる。株式や不動産など実物資産の方が中長期でプラスのリターンが得ら れる見通しが高い。さらに、借入コストが低下していることから、賢明な借入 戦略が、投資家やビジネスオーナーの資産計画により大きな役割を果たす ようになるだろう。借入れによりリターンが向上し、高リターンの資産を売却す る必要性が減り、余剰資金を保有する必要性も低下する可能性がある。

要点:インカム収入を向上させるポートフォリオ戦略を推奨する。我々は、欧 州投資適格債、米ドル建て新興国国債、一部の新興国通貨をオーバーウェ イトとしている。



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