House View Weekly 利下げがグローバル株式のメルトアップを引き起こす?

FRBのパウエル議長による先週の議会証言と6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録はいずれも、FRBが今月31日の次回会合で利下げに踏み切るとの我々の見方を裏付けるものだった。インフレ率とインフレ期待はともにFRBが目標とする2%を下回っているほか、貿易紛争をめぐる不透明感が成長と設備投資に及ぼす影響についてFRBは懸念を示している。また議事録では、景気後退の兆候として見られてきた逆イールドにFOMCの複数のメンバーが警戒感を示していることも明らかになっている。

15 7 2019

今週の要点

1. FRBは景気減速に備え予防的措置を視野に

米連邦準備理事会(FRB)の先週のハト派発言を受けて、市場では月末の 会合での利下げ観測が強まった。パウエルFRB議長は10日の議会証言で、 景気の勢いが鈍化しているようだと述べ、貿易問題や連邦債務上限、英国 の欧州連合(EU)離脱などをめぐる懸念がなお解消されていないと指摘した。 インフレ率が2%目標を下回る水準にとどまっていることや、米国の3カ月債 と10年債の利回り逆転(逆イールド状態)が先行きの景気後退を示唆してい る可能性について複数の米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが懸念を 示していることなどを勘案すると、FRBには金融緩和の余地があると考えられ る。FRBの緩和措置は株価の下支えになるとみられるため、我々は米国株式 をオーバーウェイトに据え置く。だが同時に、FRBの利下げ幅を市場が過大に 織り込んでいるリスクにも備える必要があるだろう。市場では現在、2020年 末までに100ベーシスポイント(bp)の利下げを想定しているが、これは経済デ ータの強さとは符合しない。6月の雇用統計では非農業部門雇用者数が22 万4千人増と、年初来で最大の伸びを示した。失業率も3.7%と、ほぼ50年 ぶりの水準に低下した。また、米サプライマネジメント協会(ISM)による製造 業景況感指数も51.7と、景気の拡大・縮小の分岐点となる50ポイントを上回 る水準を維持している。

要点:我々は戦術的資産配分において米国株式をオーバーウェイトとしている。 ただし、予想外のタカ派的動きが生じるリスクにも備え、米国の短期債をアンダ ーウェイトとしている。

2. 企業利益の低迷は、株価の上昇を阻む差し迫った脅威ではない

米国の第2四半期の決算発表は精彩を欠く内容となる見通しだ。第2四半 期の企業利益の伸びはわずか1~2%、通年でも1%程度にとどまると予想 する。米中貿易紛争の影響で鉱工業およびテクノロジー部門の増益率が鈍 化したほか、金融銘柄では金利低下が痛手となっている。ユーロ圏の見通し はさらに弱く、今年は利益成長が期待できない。だが、こうした伸び悩みが収 益リセッション入りを招き、強気相場を脅かすとは考えにくい。一部のセクタ ーを除けば、米国企業は依然健全とみられ、問題セクターを除く企業利益の 伸びは5%になると予想する。加えて、FRBは今月末に利下げに踏み切ると 予想され、政策対応による下支えも見込まれる。米中貿易紛争の一時休戦 が長期化すると想定すると、その間に企業の設備投資もある程度の回復を 示す可能性がある。その他、消費財関連では、高い消費者信頼感と賃金上 昇が引き続き追い風となる見通しだ。全般的な企業利益の伸びは来年には 7%に回復すると我々はみている。

要点:セクター別では、米国の一般消費財と通信サービス、欧州のエネルギー および公益事業を推奨する。

3. 株価が最高値を更新しても、下落リスクが高まるわけではない

S&P500種株価指数が先週初めて3,000の大台に乗せたことから、近い将来 に大きく下落するとの懸念が一部の投資家の間で高まった。高値で掴んでそ の後急落するだけの相場に手を出したい投資家はいない。2007年に市場の ピークで買った投資家は、2009年の底までに50%程度の下げを経験したと 考えられる。だが、1945年以降の市場の歴史に基づくと、大幅下落のリスク は投資家が考えているよりも小さい。月次データによると、過去最高値で株 式を購入した投資家の34%については、その後のどの時点においてもその 投資(配当を含む)はマイナスに転じていない。また、過去最高値で株式を購 入した投資家の59%については、それに続くどの時点でもその投資(配当を 含む)が5%を超えて下落していない。一方、過去最高値で買って、その後の 「弱気相場」で20%を超える損失を被ったとみられる投資家の割合は15%に 過ぎない。市場が最高値を更新したというだけの理由でリスク資産から資金 を引き揚げてキャッシュに乗り換えれば、長期的な投資目標を達成する機会 を逃す可能性がある。



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