House View Weekly 分岐点

今年上期は全主要資産クラスが高いリターンを上げ、投資家にとっては好調な半年となった。米国株式のトータルリターンは17%、ユーロ圏株式は15%だった。米国の投資適格債のリターンは9%、ハイイールド債は10%、欧州の投資適格債とハイイールド債は1桁台の半ばから後半のリターンを記録した。新興国市場における株式のトータルリターンは10%、米ドル建て新興国国債は9%だった。

01 7 2019

今週の要点

1. トランプ大統領と習国家主席の会談を受けて米中は歩み寄り

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席の会談で交渉決裂は回避された が、関税引き下げには至らなかった。今後の展開として最も可能性が高いの は、追加関税も関税撤廃も行われないまま、貿易をめぐる休戦状態が長引く 状態である。本稿リリース時点で、トランプ大統領は、発動をちらつかせてい た約3,250億米ドル相当の中国輸入品に対する追加関税を当面見送る方針 を示した。しかし、米中が最終的な合意に至るまでの道のりは平たんではな いことにも留意する必要があるだろう。両国はいずれも合意を急いでおらず、 トランプ大統領も習主席も自分には切り札があると考えているようだ。トラン プ大統領の支持率は安定している。さらに、米連邦準備理事会(FRB)の最近 の声明から、トランプ大統領はFRBが貿易摩擦による影響を軽減する手段を 講じるものと期待している。習主席も財政・金融両面で景気浮揚策を実施す ることができる。このため、戦術的投資期間(6カ月)以内に包括的な合意に達 する可能性は低いと我々は考えている。

要点:会談結果は、我々の投資スタンスに整合する内容であった。我々は戦術 的投資期間において、地域を厳選した株式のオーバーウェイトを維持する。た だし、下落リスクに備え、反景気循環的ポジションも保有する。

2. 利下げ期待に水を差すFRBの発言

米連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーであり、ハト派として知られるセン トルイス地区連銀のブラード総裁は先月25日、7月のFOMCでの50ベーシス ポイント(bp)の利下げは「行き過ぎ」と感じると発言した。一方、パウエルFRB 議長は金融政策の運営について「様子見」姿勢を維持すると述べた。これら の発言を受けて、米国株式は25日に1%下落した。貿易をめぐる不確実性か ら、FRBが景気減速を回避する予防策として利下げを実施すると我々は予想 している。しかし、市場が織り込んでいる今後12カ月での1%の利下げは行 き過ぎであると考えている。このところインフレ率は低下しているものの、米 国の経済統計はこれほど大幅な利下げを必要とする根拠を示していない。 失業率は1960年代以降で最低の水準にあり、金融環境は緩和的、成長率も トレンドに近い状態が続いている。今月5日に発表される6月の雇用統計で今 後の手がかりを探っていく。

要点:市場は大幅な利下げを織り込んでいるが、これは行き過ぎと考える。よ って、米国の短期国債よりも株式とキャッシュを推奨する。

3. サプライチェーンを脅かし続ける米中の対立

米中は関税問題で休戦状態に入ることで合意したが、テクノロジーをめぐっ ては激しい覇権争いが続いている。米国は先週、中国のテクノロジー企業5 社を新たに「エンティティリスト(禁輸措置対象のリスト)」に加え、米国企業か らの調達を実質的に禁止した。この覇権争いはサプライチェーンに長期的な 影響を与え、両国の生産性や生産高、雇用に影を落とすと考えられる。そう した事態がもたらす影響については、主に次の3つの観点から検討できる。 第1に、起業家の視点からみると、自動車やテクノロジーなどの分野での投 資と資本支出の増加を意味する。第2に、投資の観点からみると、サプライチ ェーンが混乱することで、(新たなサプライチェーンの開拓に必要な)設備投 資の拡大が追い風となる鉱工業セクターのテスト/検査会社などが恩恵を 受けるだろう。最後に、投資テーマの観点からみると、イノベーションやバリュ ーチェーンの高度化の必要性から、人工知能(AI)や5Gなど先端技術分野へ の投資が有望となるだろう。

要点:詳しくは、”How global supply chains are reacting to trade tensions” のレポートをご覧ください。サプライチェーン見直しから恩恵を受ける可 能性のある投資テーマについては、長期投資テーマレポート “Enabling technologies(実現技術:イネーブリング・テクノロジー)” と “Automation & robotics(オートメーションとロボット)”をご参照ください。



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