Global risk radar 新しいシナリオと資産クラスの見通し

我々は今後6-12カ月を見据えたシナリオを更新した。新型コロナウイルスの治療薬とワクチン開発が進み、感染拡大も落ち着きに向かう様相を呈していることから、市場の関心はパンデミック後の市場変動要因へと徐々にシフトしている。米大統領選挙、米中関係、そして景気動向という従来のテーマに市場の注目が少しずつ戻りつつある。

2020年 8月 10日
  • 我々は今後6-12カ月を見据えたシナリオを更新した。新型コロナウイルスの治療薬とワクチン開発が進み、感染拡大も落ち着きに向かう様相を呈していることから、市場の関心はパンデミック後の市場変動要因へと徐々にシフトしている。米大統領選挙、米中関係、そして景気動向という従来のテーマに市場の注目が少しずつ戻りつつある。
  • 我々の新たな基本シナリオは、今秋に一部の地域で、対処可能なレベルで新型コロナの感染が再拡大し、米中関係が「第1段階の合意」を維持しつつ一定程度悪化し、そして11月の米大統領選挙後に政治的行き詰まりが解消すると想定している。悲観シナリオでは依然として大規模な感染「第2波」を想定している。
  • 今後12カ月の株式市場の見通しについては、各国政府と中央銀行による前例のない規模の刺激策が続き、プラスのリターンになるとみている。債券のリスク調整後リターンも引き続き魅力的と考え、米投資適格債、米ハイイールド債、米ドル建て新興国国債、グリーンボンドを推奨する。今後12カ月の米ドルについては、主要通貨に対し下落を予想する。

市場の関心は、次第に新型コロナ以外の市場変動要因に移っている

世界の金融市場は、新型コロナウイルス危機への不安がピークに達した3月の安値から力強く反発した。例えば、S&P500種株価指数は底値から45%以上上昇し、パンデミック前の水準をほぼ回復した。これらの状況を踏まえて、基本シナリオ、楽観シナリオ、悲観シナリオおよび市場変動要因と、各シナリオにおける資産クラスの目標値を更新した。全体的には、我々は今後12カ月においても、新型コロナ関連の材料が引き続きリスク資産の相場を大きく左右するとみているが、次第にその他の要因にも関心が集まるだろう。具体的には、11月に迫った米国の大統領選挙、米中対立、実質金利、企業収益の見通しなどが挙げられる(表1参照)。

基本シナリオでは、全国規模のロックダウン(都市封鎖)が再実施されることは想定していない。ワクチンが2021年第2四半期以降、広く行き渡る見込みであり、感染拡大は緩やかな活動制限で対処可能な水準に抑えられるとみられる。さらに、金融緩和策と財政刺激策の若干の拡大もあり、経済活動は2022年までにパンデミック前の水準に戻ると予想する。新型コロナウイルスをめぐるこうした動向に加え、金利が過去最低水準で推移しているため、株式のリスクプレミアムはパンデミック前の水準に戻るとみられ、S&P500種株価指数は2021年6月末までに3,500ポイントに戻ると予想する。この基本シナリオにおける投資戦略としては、配当株、「グリーンリカバリー」関連の資産クラス、および債券の選別的な投資機会に注目することを勧める。

楽観シナリオでは、ワクチンが想定よりも早期に実用化され、財政刺激策が拡大し、米中関係が現状を維持し、米大統領選挙の結果、大幅増税や本格的な規制強化が回避される、といった条件が重なり、株式のリスクプレミアムがパンデミック前の水準を下回ると予想する。以上を踏まえ、2021年6月末のS&P500種株価指数の目標値は3,700ポイントと予想する。この楽観シナリオにおける投資戦略としては、シクリカル株やバリュー株の一部、新型コロナ危機で加速した投資テーマに関連した企業(デジタル・トランスフォーメーション等)を推奨する。また、米ドルの更なる下落を予想する。

悲観シナリオでは、全国規模のロックダウン、米大統領選挙後の政治的行き詰まり、追加財政刺激策の限界、ワクチン開発の遅れ、新たな関税引き上げやハイテク企業の締め出し強化等の米中対立激化などが想定され、2021年6月末のS&P500種株価指数は2,800までの下落を予想する。悲観シナリオに備えたリスクヘッジとしては、金(Gold)やスイス・フランなどが特に有効と考える。さらに、ボラティリティ(相場変動)を利用する戦略も検討できるだろう。

我々は、グローバル株式ならびに複数のクレジット・セグメントを推奨することで、全体としてリスクオンの資産配分を維持する。以下の表2には、足元の状況を踏まえて更新した基本シナリオ、楽観シナリオ、および悲観シナリオにおける資産クラスの最新の目標水準が示されている。

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