FRBが3会合連続利下げ

米連邦準備理事会(FRB)は10月30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを25ベーシスポイント(bp)引き下げ、1.50~1.75%とすることを決定した。これは予想通りの動きで、相場の変動はほとんど見られなかった。今回の利下げで、7月以降の利下げ幅は計75bpとなった。

FOMC声明の表現は若干の変更にとどまった。金利の「将来的な道筋を慎重に検討」との文言は削除され、「(成長持続に向けて)適切に行動する」が「(先行きの金利政策の)適切な道筋を見極める」に変更された。こうした変更はFRBが中立寄りのスタンスに動いたことを示唆するが、今後のFOMCで追加利下げを実施する余地をなお残している。

パウエルFRB議長は記者会見でこの点を明確にし、経済情勢がFRBの見通しと整合する限り(緩やかな経済成長と力強い雇用市場、2%目標付近でのインフレ率推移)、いまの政策スタンスは「適切である可能性が高い」と述べた。直近の景気指標を見てみると、30日朝に発表された7-9月期(第3四半期)の国内総生産(GDP)成長率は1.9%、食品およびエネルギーを除くコアPCE(個人消費支出)デフレーターの上昇率は年率2.2%となり、こうした見方を支えている。米中貿易協議に進展の兆しが見え、合意なきブレグジット(英国のEU離脱)のリスクも低下したことから、FRBは現状では十分な措置を講じたとの認識を示している。パウエル議長は、政策を変更することがあるとすれば、経済見通しに「大きな変化」が生じた場合だと述べた。

パウエル議長はさらに、今月決定した米短期国債の買い入れは、量的緩和策の再開ではないことを改めて強調した。量的緩和策は長期債に絞ったもので、利回りを引き下げて金融環境全般を緩和することが狙いだったのに対し、今回の短期国債の購入は、金融市場全体にはさほど大きな影響を及ぼさないからだ。

FRBは当面利下げを休止する可能性を示唆しているが、リスクは依然下振れ方向に傾いていると我々はみている。経済成長率が我々の予想通りに鈍化すると、FRBは追加利下げを迫られる可能性もある。FF金利先物市場は現在、2020年末までに40bp程度の利下げを織り込んでいる。

House View レポートの紹介


資産運用はUBS証券へ

UBSウェルス・マネジメントでは、富裕層のお客様の資産管理・運用を総合的にサポートしております。日本においては、2億円相当額以上の金融資産をお預け入れくださる方を対象とさせていただいております。

(受付時間:平日9時~17時)