2020年は追い風が吹く見通し
  • 我々は、2020年のアジア太平洋(APAC)地域の経済成長は改善に向かうが、米国はやや減速するとみている。よってAPAC通貨の対米ドル相場は上昇すると見込む。2020年のAPAC通貨スポット相場の上昇率は、平均で1桁前半から半ばになると予想する(2019年の平均上昇率は1.2%)。
  • 前年よりパフォーマンスが出遅れている通貨や高金利通貨、景気動向に敏感な通貨等が魅力的なリターンを上げるとみている。
  • 景気に敏感でパフォーマンスに出遅れ感のある人民元および韓国ウォンの米ドルに対するオーバーウェイト、キャリー収入に注目したインド・ルピー、インドネシア・ルピア、フィリピン・ペソ、およびマレーシア・リンギットの米ドルに対するオーバーウェイトをそれぞれ推奨する。

我々の見解

2020年は為替相場の潮目が変わり、APAC通貨全般が対米ドルで上昇し始めると我々はみている。我々は米中貿易摩擦がピークに達した2019年11月以降この見方を維持している。APACでは、センチメント指標の改善や設備投資の回復基調に追随する形で実体経済の指標も上向いており、域内と米国間の経済成長率がかい離し始める可能性がある。過去の実績をみても、APAC地域の国内総生産(GDP)成長率が加速する局面ではAPAC通貨が上昇している。さらに、もし世界の経済活動に拡大傾向が見られない場合は、各国中央銀行は現在の緩和政策を続けるか、追加緩和に踏み切る可能性が高く、そうなると市場流動性の急拡大がAPAC通貨の一段の下支えとなるだろう。
こうした要因により、海外からAPAC地域、特に中国への資金流入が増加する環境が作り出されている。米中関係をめぐる先行き不透明感が薄れたことで、外国企業の間ではすでにアジアの新興国に資本を回帰させる意欲が高まっており、年末から年初にかけてAPAC通貨は上昇した。このトレンドは2020年を通して続きそうだ。
APAC通貨の上昇を予想する我々の見方に対するリスクとしては、米中貿易摩擦の再燃や中東での緊張の高まりが挙げられる。地政学的要因以外では、APACの成長がまだ回復しないうちに、米連邦準備理事会(FRB)の金利政策に関する市場予想が緩和から引き締めに方向転換するような状況も、下振れリスクとなるだろう。

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