日本株式 低金利環境の恩恵を受ける日本のREIT – アップデート

5月の緊急事態宣言解除を受け、日本でも企業や人の活動が回復に向けて動き出している。経済再開の動きによりホテルREITと小売REITが恩恵を受けるものと考える。東証REIT指数は直近の高値から49%下落した後、下げ幅の約半分を回復したが、依然TOPIXを10ポイント超下回っている。上昇の大部分は、我々の予想通り、物流REITがけん引している。REITのその他のサブセクターについても今後上昇余地があると見ている。

by 小林 千紗、居林 通 2020年 6月 15日
  • 5月の緊急事態宣言解除を受け、日本でも企業や人の活動が回復に向けて動き出している。経済再開の動きによりホテルREITと小売REITが恩恵を受けるものと考える。
  • 東証REIT指数は直近の高値から49%下落した後、下げ幅の約半分を回復したが、依然TOPIXを10ポイント超下回っている。上昇の大部分は、我々の予想通り、物流REITがけん引している。REITのその他のサブセクターについても今後上昇余地があると見ている。
  • 日銀の資産買い入れと超低金利環境が強力な下支えとなり、2020年の日本のREITは価格上昇が期待できると考える。

我々の見解

日本経済の再開に伴い、日本の株式市場も新たな局面に入るだろう。日本のREITは外出自粛要請とソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)措置により大きな打撃を受けたが、活動再開により今後上昇が見込まれる。東証REIT指数は3月の安値からほぼ半値戻しまで回復したが、依然TOPIXを12ポイント下回っている(図表1参照)。REIT指数は依然として純資産価額(NAV)を下回っている。予想分配金利回り(平均)は4.0%を超えている。これに対して、日本の10年国債利回りはゼロ%(図表2参照)で、日本株の平均配当利回りは2.4%である。REITの価格パフォーマンスは国債利回りと逆相関する傾向にある。この超低金利環境は年内いっぱい、そしておそらく来年以降も続くと予想されることから、投資家による利回り追求の動きが加速し、REIT市場に資金が流入し、同セクターはTOPIXをアウトパフォームするとみられる(図表3参照)。

REITのサブセクター内では、我々の予想どおり、物流REITが回復をけん引している(図表4参照)。物流REITはe-コマースの需要増による恩恵を受けており、この傾向はコロナ危機収束後も長期的に続くと予想される。よって引き続き物流REITを推奨する。

さらに今回は、年末にかけての企業と消費活動の回復を見込み、ホテルREITと小売REITを日本株推奨リスト(EPL) に追加した。ホテルREITの価格は、パンデミックの影響に加え、観光業およびビジネス需要の不透明感から大幅にアンダーパフォームした。日本のホテル業界の4月の収入は平均で前年同月比90%減と大きく落ち込んだ。1-3月期の旅行関連消費支出も前年同期比21%減の3兆3,000億円となった(国土交通省より)。

しかし、ホテル業界にとって追い風となる材料も出てきている。政府は感染収束後の国内旅行の喚起策として「Go To Travel キャンペーン」を実施する計画。これにより国内旅行需要の回復時期が想定より早まり、2020年下期に訪れることも十分に考えられる。また、海外旅行や出張も2021年には徐々に回復するものと見込まれる。これまで、国内旅行、インバウンド需要、ビジネス需要の全ての需要が急減し回復時期も不透明であったホテル業界だが、少なくとも三重苦の最悪期は過ぎたものと我々は考えている。よって、ホテル業界の収益と配当の安定性に対する投資家の見方も徐々に改善していくと思われる。供給サイドでは、新型コロナの影響でホテル会社の供給計画が縮小しているため、競争は緩和していくだろう。再編の動きも広がるとみられ、一部には閉業するホテルも出てくる可能性がある。

日銀の支援続く

日銀は、3月16日の緊急金融政策決定会合で、REITの年間買入枠を従来の900億円から1,800億円に倍増した。以降、日銀は買い入れペースを加速し、年初来の買入実績は730億円と、すでに2019年の買入総額を超えている。

加えて、年内の買入枠はまだ1,070億円分が未消化となっており(図表5参照)、REIT価格を下支えすると考える。さらに、REITは分配金利回りが相対的に高いだけでなく、債券代替としての需要も高く下値プロテクションも提供する。このように、日銀のREIT買入枠の倍増は同市場の追い風になると考える。

推奨銘柄

今回、我々の日本株推奨リスト(EPL)にホテルREITと小売REITの銘柄を追加し、オフィスREITの比重を減らした。日本のe-コマースは今後も需要拡大が加速すると見ており、物流REITはこのトレンドから最も大きく恩恵を受けるだろう。住宅REITは景気動向にかかわらず安定した月次賃料収入とキャッシュフローが見込めるため、J-REITの中で最もディフェンシブ性が高い。オフィスREITの中では、テレワーク普及の影響を受けにくいトップグレード物件のみを推奨する。

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