戦術的推奨

資産配分

米中が1月15日に「第1段階」の貿易合意に署名したことから、両国間の貿易紛争は当面はやや落ち着きそうだ。11月の米大統領選挙を控え、トランプ大統領は中国および欧州との貿易紛争を激化させたくないことから、企業の景況感は改善に向かうだろう。最近の景気指標を見ると、世界経済は潜在成長率近辺に安定しており、アジアを中心に景気回復の兆しが見え始めている。インフレ圧力がさほど大きくないため、2020年の金融政策は緩和的なスタンスを維持できるだろう。以上を背景に、我々は戦術的資産配分で「リスクオン」のスタンスを維持する。特に新興国資産が好調に推移すると予想されるため、高格付債に対する新興国株式と、魅力的な利回りを提供する新興国通貨バスケットのオーバーウェイトを維持する。

株式

ユーロ圏株式に対する米国株式の戦術的な(短期的な)オーバーウェイト・ポジションを終了し、それに代わって新興国株式をオーバーウェイトとする。2019年の米国株式は、テクノロジー・セクターの目覚ましいリターンにけん引されて、他市場のパフォーマンスを概ね上回った。このため、2020年の業績の伸びが事前予想を下回ると、特に米国株式は現在のバリュエーション水準から崩れかねない。新興国企業の間では業績を下方修正するよりも上方修正する企業が増えており、今後の見通しが明るくなっている。一方、ユーロ圏経済の成長率は依然として低く、ユーロ圏企業の業績見通しも冴えない状況が続いている。ユーロ圏株式は日本株式に対してもアンダーウェイトを維持する。バリュエーションで比較すると日本株式の方が割安だからだ。

債券

グローバル債券の利回りは最近ピークを付けた後に低下しており、各国中央銀行が政策金利を低水準に抑えている限り大幅に上昇することはないと予想する。クレジット・スプレッドは世界金融危機以降の最低水準にまで縮小した。特に高格付債の縮小が顕著である。その結果、2020年における債券のリターンは、非常に好調なパフォーマンスを記録した2019年に比べると見劣りするだろう。バリュエーションは特に割安ではないが、投資家は利回り物色スタンスを維持しそうだ。新興国国債の戦術的なオーバーウェイトは価格が上昇したため利益を確定し、手仕舞うこととする。現在の利回りも5%程度となお魅力的ではあるが、さらなる価格上昇余地は限定的とみられる。

外国為替

これまで豪ドルと台湾ドルに対してオーバーウェイトしてきたインド・ルピーとインドネシア・ルピアの新興国通貨バスケットに、スウェーデン・クローナに対するブラジル・レアルのオーバーウェイトのポジションを加える。このバスケットにより、相場の方向性に賭ける取引を避けつつ、特定の新興国通貨から魅力的な金利収入の獲得を目指す。さらに、英ポンドについては、欧州連合(EU)との新たな通商協定をめぐる交渉の難しさや、イングランド銀行によるハト派的なコメントを受けて英ポンドは最近下落しているが、この反応は行きすぎとみている。よって米ドルに対する英ポンドの戦術的なオーバーウェイト・ポジションを加える。

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