Investor's Guide 3月号 不透明な状況下での選択

危機は変化を加速させることが多い。新型コロナウイルスの感染拡大による海外渡航の制限、テレワーク推進、医療テクノロジーの促進は、新たな「機会」を生み出す契機にもなりうる。

2020年 2月 27日

資産配分

この1カ月は、中国での新型コロナウイルスの感染拡大がメディアの話題をほぼ独占した。足元で新たな感染者数が低下してきたことから、ウイルスの封じ込め戦略がひとまず一定の効果を示した模様である。とはいえ、2020年1–3月期(第1四半期)の中国の経済成長率は、生産活動の混乱により深刻な打撃を受けるだろう。中国経済は(政府による追加の景気刺激策の効果で)いつごろ回復に向かうのか、グローバル・サプライチェーンはどの程度混乱するのか、といった重要な点はまだ不透明である。最終的な景気への影響を判断するのは時期尚早である。プラス面では、各国の中央銀行は流動性供給により金融市場の支援を続けており、世界経済は米中貿易紛争による落ち込みから総じて回復しつつある。以上を背景に、我々は新興国株式の小幅のオーバーウェイトを維持する。とりわけ超低金利環境が続く中、新興国株式市場は魅力的なバリュエーションを提供している。

債券

株式市場は最近上昇トレンドに戻ったが、世界の国債利回りはこの1カ月は低い水準での推移が続いた。低インフレ率が長期化し、世界の景気回復がさまざまなリスクにさらされていることを背景に、市場参加者は政策金利が低水準のまま長期にわたり据え置かれるか、さらに低下するとさえ予想している。よって、高格付債に対して新興国株式をオーバーウェイトとする。クレジット市場では、投資家需要が引き続き強く、スプレッドは金融危機以来の最低水準に戻った。企業のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は、特に財務体質の弱い米企業などは脆弱な印象だが、スプレッドが比較的狭いにもかかわらず、投資家のキャリー(金利収入)を追求する姿勢が後退する兆候は見えていない。現時点では、戦略的(長期的な)資産配分に沿った保有比率を推奨する。

株式

ユーロ圏株式に対する日本株式の戦術的オーバーウェイトを終了する。日本の経済指標は軟化しており、企業利益の伸び率も我々の予想を下回った。年初から対ユーロで円高が続いていたことも、日本の国際競争力の足を引っ張っている。一方、ユーロ圏株式に対する新興国株式のオーバーウェイトは継続する。新興国企業の利益は底打ちしつつあり、我々の基本シナリオでは、新型コロナウイルスによる中国経済の鈍化は一時的であると予想している。悲観シナリオでは、輸出依存度の高いユーロ圏株式もリスクにさらされると想定している。

外国為替

世界的な低金利環境を背景に、一部の新興国通貨に魅力的な金利収入の機会が見いだせる。同時に、この資産クラスでは相場の方向性に賭ける取引は避けたい。よって、スウェーデン・クローナ、豪ドル、台湾ドルに対するインド・ルピー、インドネシア・ルピア、ブラジル・レアルのオーバーウェイトのポジションを継続する。また、英ポンドは、投資家が年末までに英国・欧州連合(EU)間で新たな通商協定が締結されないリスクを過大に織り込んでいることから、引き続き割安とみている。よって、米ドルに対する英ポンドのオーバーウェイトを維持している。

CIOは3月2日付CIO Alert 「相場急落でリスクオン継続-TAA変更」の中で、戦術的資産配分の3つの変更を発表しています。変更の詳細は同レポートをご参照ください。

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