CIO Alert 行動規制緩和期待で相場上昇

8日のS&P500種株価指数は3.4%上昇した。3月23日につけた直近の下値から23%上昇し、2月19日に記録した過去最高値をわずか18.6%下回る水準である。

2020年 4月 08日

8日のS&P500種株価指数は3.4%上昇した。3月23日につけた直近の下値から23%上昇し、2月19日に記録した過去最高値をわずか18.6%下回る水準である。

センチメントは依然大きく揺れ動いているが、投資家の注目は、世界全体で増え続ける感染者数から、パンデミック(世界的な大流行)が抑制されつつある兆しに移っているようだ。こうした兆候は、比較的早期に封じ込め措置が解除されるとの期待につながっている。

8日(水)には、明るい動きが見られた。

  • 米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は、新型コロナウイルスとの闘いの状況が来週から転換し始める可能性があると述べた。トランプ米大統領もツイッターに「国は『割合早く』再開する」と投稿した。
  • 中国では、新型コロナウイルスが最初に発見された武漢の封鎖が、76日ぶりに解除された。ウイルスに感染していないと思われる住民は、飛行機、高速道路、鉄道を再び利用できるようになった。ただし、当局は不要の移動を控えるよう求めている。
  • イタリアでは、新規感染者数が3,836人に増えたが、これは1日あたりの検査実施数が大幅に増加したためである。1日に実施される検査での陽性の比率は、2日(木)の17%、7日(火)の9%から、7.4%へさらに低下した。
  • サンダース米上院議員が民主党の指名争いから撤退すると発表したことも、市場を下支えした。バイデン元副大統領は、獲得代議員の数で、ほぼ逆転不可能なまでにリードを広げていたが、サンダース氏が選挙戦を続けることは、市場に混乱をもたらす勢力の存在を表し、全国党大会に向けて、民主党内の急進派が提唱するより過激な政策提案を推し進める可能性があると懸念されていた。サンダース氏の撤退はこうしたリスクを減らし、全国党大会で市場寄りの中道的な綱領が発表されるとの見通しを強めている。

上記のような各国での進展に加え、7日にオーストリアとデンマークが今月半ばのイースター(復活祭)休暇明けに合わせて規制を緩和する方針であることが報じられたことや、コロナ検査、感染経路追跡、マスク着用等が「出口戦略」につながりうるとの認識が広がっていることも重なり、欧州の一部、それに続き米国でも、中国のように経済活動が比較的迅速に「正常な」状態に戻る可能性があるとの期待が高まった。しかし、パンデミックの流れがこれで変わると判断するのは時期尚早であり、状況は依然として流動的であると考える。英国では8日、1日の死者数が感染発生以来で最多となった。トランプ政権も、米国は非常に厳しい1週間に耐えることになると警告している。

総じて言えば、足元の市場は経済活動が5月初旬から中旬にかけて正常な状態に戻るとの見方を織り込んでいる模様だが、回復は緩やかなペースとなり、2020年の経済活動や企業業績は2019年の水準には届かないと我々はみている。先行き不透明な環境だが、株式市場全般の上値余地がさらに広がる材料としては、経済対策の効果が確認される、追加の金融または財政刺激策が実施される、各国政府が明確に「出口戦略」の準備を始める、あるいはワクチン・治療薬等が開発される、などの動きが考えられる。一方、相場下落リスクとしては、新規感染者集の急増、ロックダウン(都市封鎖)の復活祭以降への延長決定、金融・財政刺激策が企業倒産や失業増を緩和できない、などの要因が挙げられる。

現時点では、株式の銘柄厳選、リスク調整後リターンの優れたクレジット(我々の悲観シナリオをかなり織り込んでいるスプレッド水準のもの)を推奨する。特に、米投資適格債、米ハイイールド債、米ドル建て新興国国債、グリーンボンドに魅力的な投資機会があるとみている。株式においては、1)欧・米・スイスにおける売られ過ぎの銘柄、2)コロナの影響が少ない銘柄:生活必需品、ヘルスケア、グローバルな高クオリティー銘柄、3)長期的な勝ち組銘柄:遺伝子治療、デジタル・トランスフォーメーション、オンコロジー(がん治療)、食料関連などの長期投資テーマ、を推奨する。

相場が再び下落することに警戒している投資家にも選択肢が複数ある。高格付債(特に長期国債)への戦略的(長期的)配分を増やす、ダイナミック・アセットアロケーション(機動的な資産配分の変更)戦略を加える、さらに金(Gold)または元本保全戦略が検討できる。バリュエーションが相対的に割安で、ウイルスによる業績への影響が比較的限定的なアジア株式や、市場が混乱しているときでも底堅い高クオリティー銘柄にも投資機会があるとみている。

新型コロナウイルスのパンデミックの先行きが不透明であることを踏まえると、株価が上昇しても、二番底を警戒する投資家もいるだろう。しかし、投資から遠ざかる期間がさらに長引けば、その間に価格が上昇してしまうリスクがある。こうした市場で長期的なポジションを積み上げる一つの方法は、規則的な株式の分割購入である。リスクの高い資産を分割購入すれば、短期的な市場変動の影響を抑えることができる。

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