• 我々は2019年10-12月期(第4四半期)の国内総生産(GDP)成長率は落ち込むと予想しており、企業センチメントの冷え込みから2020年第1四半期もこうした停滞が続くものとみている。新型肺炎も成長の重石となるだろう。だが、2020年後半には景気の回復が見え始めると予想する。
  • 12月の貿易統計では、半導体製造装置と電子部品/電子機器の輸出に明るい兆しが見えた。半導体サイクルはすでに底打ちした可能性があるとみている。
  • 政府は28日、日銀の次期審議委員に、金融緩和に積極的な「リフレ派」のエコノミストとして知られる安達誠司氏を指名した。日銀は当面、金融緩和政策を維持する公算が大きい。

先行きに明るい兆し

2019年第4四半期の経済指標は総じて予想を下回った。10月の消費増税や関東地域を襲った大型台風19号の影響で経済活動が停滞した。我々は、第4四半期のGDP成長率が前期比年率換算で4.8%のマイナスになると予想している。また、購買担当者景気指数(PMI)は製造業、非製造業ともに50を割り込んでおり、2020年第1四半期もこうした停滞が続くとみている(図表1参照)。

新型コロナウイルスも、今年第1四半期の成長に影を落とす可能性がある。観光業への打撃(中国人が訪日客の3割を占める)、円高、中国で操業している自動車や電子機器メーカーに対するサプライチェーンの混乱が悪材料となるだろう。市場では、新型肺炎の影響で、短期的に第1四半期のGDP成長率が0.1~0.3ポイント押し下げられると予想されている。

だが、我々は今年後半には景気の回復が見え始めると予想する。景気低迷が長引く可能性はあるものの、12月の貿易統計からは回復の初期兆候が見てとれる。中でも注目すべき点は、輸出全体の統計は軟調だが、電子部品/電子機器の輸出は前年同月比で6.5%増加しており、半導体製造装置も同30.6%増と急拡大していることである(図表2参照)。設備投資に2-3・四半期先行するコア機械受注も、前月比+0.6%と4カ月ぶりにプラスとなった。

日銀はハト派姿勢を続ける模様

政府は日銀の次期審議委員に金融緩和に積極的な「リフレ派」のエコノミストとして知られる安達誠司氏を充てる人事案を国会に提示した。国会で承認されれば、原田泰氏(3月25日に任期満了)の後任となる。安達氏の就任は短期的には市場に大きな影響はないだろうが、再びリフレ派を据えるという判断は、現在の金融緩和路線を長期化させる安倍首相の意向を反映したものだろう。

日銀のハト派スタンスと米中貿易摩擦の後退を踏まえると、今年前半については米ドルが円に対して下落する余地は小さいとみている。だが、中長期的には米ドル安基調を予想しているため、基本的には円高ドル安方向に進むとの見方を維持する。株式市場については、緩やかな企業利益成長(2020年度は3~4%増益を予想)と長期平均と比べて日本株式のバリュエーションがやや割高であることから、質の高い配当を継続的に行う企業を推奨する。日本国債の利回りはゼロ近辺で推移すると見られ、投資妙味は引き続き薄いだろう。

House View レポートの紹介



資産運用はUBS証券へ

UBSウェルス・マネジメントでは、富裕層のお客様の資産管理・運用を総合的にサポートしております。日本においては、2億円相当額以上の金融資産をお預け入れくださる方を対象とさせていただいております。

(受付時間:平日9時~17時)