ドル円 円は安全通貨の王道

ドル円は、世界的なリスク回避の高まりと日米長期金利差の縮小に牽引されて徐々に下落し、1米ドル=110円を割り込んだ。目先の見通しは依然として下振れ方向に傾斜している。リスク選好度がさらに悪化すると投機的な円売りポジションの買い戻しが加速する可能性もある。

16 5 2019
  • ドル円は、世界的なリスク回避の高まりと日米長期金利差の縮小に牽引されて徐々に下落し、1米ドル=110円を割り込んだ。
  • 目先の見通しは依然として下振れ方向に傾斜している。リスク選好度がさらに悪化すると投機的な円売りポジションの買い戻しが加速する可能性もある。
  • 我々は、3カ月と12カ月の予想をそれぞれ107円と105円に据え置くが、6カ月予想を106円に(円高ドル安方向に)引き下げる(従来予想は107円)。

見通しのリスクは引き続き下振れ方向に傾斜

ドル円は4月下旬以降、1米ドル=112円から現在の109.5円近辺へとゆっくりと下落してきた。この動きは、5月初旬に米中間の貿易摩擦が再燃したことを引き金に、世界的にリスク回避傾向が強まったことが背景にある。米ドル、円ともに安全通貨だが、金利の低い円の方がリスク資産投資の調達通貨として人気が高いこともあり、従来、円の方がリスク回避傾向の恩恵を大きく受ける傾向にある。

今後数週間は、ドル円は下げ圧力にさらされ続けるだろう。短期的には、今後もリスク・センチメントがドル円の方向を左右すると思われるが、我々は、米中間の貿易摩擦は今年後半までもつれ込む可能性があるとの見方を強めている。両国の言い分にはなお大きな隔たりがあり、早期の妥結は可能性が低いと考えられる。したがって、バリュエーションでみても(我々の購買力平価の試算によると、ドルは円に対して非常に割高)、ポジショニングの観点からみても(市場には円売りポジションが積み上がっている)、ドル円のリスクは引き続き下振れ(円高ドル安)方向に傾いている。

ただし中期的には、ドル円の動向は足元とは異なる様相を見せるだろう。米中はいずれ何らかの合意に達すると予想されるため、円の安全通貨の側面は現在に比べると弱まるだろう。とは言え、日銀による段階的な金融正常化と、米国経済成長率の急速な減速(我々は2019年の2.8%から2020年には2.0%に減速を予想)に伴う米ドル安が重なり、ドル円は長期的に下落傾向を続けるだろう。

投資判断

  • 112円の水準は、円に対してドルを売る魅力的な機会だと考える。
  • 米連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクルの終了と米国経済の鈍化を背景に、円に対するドルの上昇余地は限られている。下振れリスクについては、1ドル=105円を下回ると日銀が懸念を表明する可能性がある。ただし、極端なリスク回避局面が広がった場合には、一時的に100円を割り込む可能性も排除できない。
  • ドル円が予想に対して上振れる主なリスクには、FRBがタカ派に転じること、日銀が想定外に大規模な追加緩和策を実施することなどが挙げられる。



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