ドル円 見通しのリスクは下振れ方向に傾斜

ドル円相場はリスク選好のセンチメントによって支えられてきた。しかしながら、日米の長期金利差による下支えがないため、最近のドル高の根拠は不安定である。

18 4 2019
  • ドル円相場はリスク選好のセンチメントによって支えられてきた。しかしながら、日米の長期金利差による下支えがないため、最近のドル高の根拠は不安定である。
  • 我々は、ドル円は中長期的に下振れリスクの方が大きいとみている。米連邦準備理事会(FRB)が利上げサイクルを終了し、日本銀行が一段の金融緩和を実施する可能性が低いことから、上振れ余地は限定的とみられる。
  • 我々はドル円の12カ月予想を105円に据え置く。

最近のドル円の上昇は持続可能ではなさそうだ

ここ数カ月はリスク選好のセンチメントがドル円相場を下支えし、米国株式相場の上昇に伴いドル高が進んできた。だが、ドル円相場を牽引する典型的な要素である、日米の10年国債の金利差は、同期間ではあまり拡大していない(図表1参照)。これらを踏まえ、我々は、最近のドル高は日米の長期金利差よりもむしろ、リスクオンの高まりに牽引されたものだと解釈する。

足元の水準の112円からは、中長期的にドル安方向に下振れするリスクの方が大きいとみている。それにはいくつか理由がある。第1に、日米の二国間通商協議が開始されたこともあり、日本銀行は円安誘導を試みたとの米国からの批判を回避したいと考えられるからだ。第2に、米国株式が過去最高値を記録する中、リスクオンムードが落ち着き始め、ドル円相場への追い風が後退する可能性がある。第3に、日銀が発表した直近の短観によると、企業の想定為替レートは1ドル=108.8円であり、これと比較して足元のドル円水準が魅力的と映るため、日本の輸出業者がより積極的にドル売りヘッジに動く可能性が高い。第4に、投機的なポジションに関するデータから、円に対するドルの買い越しのポジションが大きく積み上がっていることが分かる。そのため、ドル円相場の一段の上昇余地は限定的と考えられる。第5に、日米の長期金利差を考えると、足元のドル円の水準は持続可能ではないと思われる。これらのことから、ドル円は現在の水準が高値であると考え、12カ月では105円に向けて(ドル安方向に)下落すると予想する。

投資判断

  • 足元の112円超の水準は、欧米の投資家にとって、円に対してドルを売る魅力的な機会だと考える。
  • 米連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクルの終了と米国経済の鈍化を背景に、円に対するドルの上昇余地は限られている。下振れリスクについては、ドルが1ドル=105円を下回ると日銀が懸念を表明する可能性がある。ただし、極端にリスク回避が広がった場合は、一時的に100円を割る可能性も排除できない。
  • ドル円が予想に対して上振れる主なリスクには、米国のインフレ率が急騰してFRBがタカ派に転じること、日銀が予想外に大規模な追加緩和策を実施することなどがある。



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