ドル円 日銀:当面追加緩和は必要なし

ドル円は、15日(金)に開かれた日本銀行の金融政策決定会合後、概ね安定的に動いた。日銀は、輸出の見通しにはやや慎重な判断を示したものの、当面追加緩和の必要性はないことを示唆した。

by 青木大樹、Teck Leng Tan 15 3 2019
  • ドル円は、15日(金)に開かれた日本銀行の金融政策決定会合後、概ね安定的に動いた。日銀は、輸出の見通しにはやや慎重な判断を示したものの、当面追加緩和の必要性はないことを示唆した。
  • 我々は、足元の水準(1ドル=112円程度)では引き続きドルのアンダーウェイトを推奨する。米連邦準備理事会(FRB)による利上げサイクルが終盤に近づき、世界経済が鈍化しているため、ドル円については、中期的には下振れリスクの方が大きい。
  • 我々はドル円の12カ月予想を105円に据え置く。

黒田総裁は極端な緩和策は不支持

日本銀行は15日の金融政策決定会合で、大方の予想通り金融政策の現状維持を決定した。しかし、政策判断の発表直後にドル円は一時、111.9円から111.5円に下落(ドル安円高が進行)した。日銀によるハト派的な政策発表を期待していた一部投機筋が失望したことが背景にある。日銀は、世界の輸出動向には慎重な見通しを示唆したが、内需には楽観的な判断を示した。黒田総裁は記者会見で、国内景気は引き続き「緩やかに拡大している」と述べ、「現代金融理論(大量の貨幣を市中に供給する「ヘリコプター・マネー」などの異例の金融政策)」は極端な主張との見方を再確認した。つまり、黒田総裁は、過激な金融緩和は政策の選択肢として支持していないと言える。

では、日銀が追加緩和に向けて動くのはどのような場合だろうか。それは、世界の経済環境が今後さらに悪化して日本の輸出産業に打撃が及ぶようになったときと考える。世界経済の減速シナリオでは、ドル円が105円またはそれを下回る水準にまで円高が進んだ時点で、日銀は円高に歯止めをかけるために追加緩和に踏み切ると予想する。言い換えれば、日銀の追加緩和措置は、先手を打つ(ドル円を115円以上に押し上げる)よりも、事後対応的に動く(105円以下の急激な円高を食い止める)可能性のほうが高い。さらに、米国と日本は今後数カ月以内に通商交渉を開始すると予想されているため、日銀が過激な緩和政策を実施するとは考えにくい。「日本は輸出支援のため円安に誘導している」との非難の余地を米国に与えたくないからだ。

投資判断                             

  • 現在の1ドル=112円程度は、円に対するドルのアンダーウェイト・ポジションを追加するのに魅力的な水準だと判断する。
  • FRBの利上げサイクルが終盤に近づき、米国経済が鈍化しているため、ドル円の上昇余地は限られている。下落余地については、ドルが1ドル=105円を下回ると日銀が懸念を表明する可能性がある。
  • ドル円が予想レンジを超えて上昇するとすれば、米国でインフレ率が急騰してFRBがタカ派に転じるか、日銀が予想外に大幅な追加緩和策を実施する場合だろう。

 

青木大樹

UBS証券株式会社 ウェルス・マネジメント本部
チーフ・インベストメント・オフィス
日本地域最高投資責任者(CIO) 兼日本経済担当チーフエコノミスト



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