日本株式 不動産セクターアップデート

2018年のセクター・パフォーマンスが堅調であった(TOPIXの-18%に対して+7%)、 REIT(不動産投資信託)の利益確定を推奨する。2019年は逆風が吹くと予想しているためだ。

by 居林通、小林千紗 21 1 2019
  • 2018年のセクター・パフォーマンスが堅調であった(TOPIXの -18%に対して+7%)、REIT(不動産投資信託)の利益確定を推奨する。2019年は逆風が吹くと予想しているためだ。
  • 10年国債利回りが上昇し、日銀の買入れによる下支えが後退すると見込まれることから、今年のREIT銘柄は上値が重いと予想される。
  • 相対的に高いREITの配当利回り(3.9%)は依然として魅力的だが、今後は不動産開発業者、特に昨年急落したオフィス系銘柄に投資妙味がある。国債の利回り上昇とオフィス賃料の上昇が、今後のオフィス開発業者の見直し買いにつながると予想される。

我々の見解

2018年6月、我々は日本株推奨銘柄リスト(EPL)に国内REIT(不動産投資信託、以下「REIT」)銘柄を数社加えた。日本企業収益の減速懸念が高まる中、REITの高い配当利回りと堅調な不動産市況を背景に、REITが東証株価指数(TOPIX)をアウトパフォームするだろうと考えたからだ。そして実際に、日本企業の業績は減速してきている(2018年11月22日付レポート「一本釣りの投資戦略」を参照)。結果として、昨年TOPIXのパフォーマンスがマイナス18%と沈んだのに対して、REITはプラス7%と2番目にパフォーマンスが好調なセクターとなった。不動産市場は相変わらず堅調だ。オフィスの空室率は過去最低水準の1.98%(1995年から集計開始)である一方、平均月額賃料は対前年同月比で1桁後半の伸びを続けている(図表1参照)。

こうした堅調なファンダメンタルズはREITにも不動産開発業者にも双方にとってプラス要因だ。だが昨年、この両者のパフォーマンスは大きく乖離した(図表2参照)。我々はその原因を、金利低下の影響と考えている。我々の分析では、日本10年国債の利回りはREITに対してと、不動産開発業者に対してでは逆の影響を及ぼしている。2018年10-12月期に国債利回りはピークから181ベーシスポイント(bp)低下してREITに好材料となった。しかし、2019年に入り、金利上昇が意識されるようになれば、REIT株価の下押し圧力となるだろう。

その理由の1つ目は、REITは配当政策が比較的安定していることから債券の代替商品とみられ、日本10年国債利回りとは負の相関関係にあることだ(図表3参照)。そのため、米中貿易摩擦をめぐってリスク回避的な地合いが強まり、日本10年国債の利回りが急低下した2018年10-12月期に、REITはTOPIXをアウトパフォームした。したがって、今後債券利回りが上昇し始めると、REITにとっては追い風から逆風へと風向きが変わる公算が大きい。我々は、今後12カ月で日本10年国債利回りが0.3%に上昇すると予測している(現在0.014%)。

2つ目に、我々は、今年は日銀がREITの買い入れ額を増加させないと予想している。日銀は金融政策の一環として2014年以降、年間900億円のペースでREITを購入してきた。だが2018年の買い入れ額は560億円に低下し、2019年はこれと同額かさらに減少するものと我々はみている(図表4参照)。

3つ目に、昨年市場全体を大きくアウトパフォームした反動で、今年はREITが相場全体に後れを取ると予想する。今年は、売られすぎの優良株が魅力的なバリュエーション水準に低下しているため、反転してもおかしくないと我々はみている(2018年12月23日付レポート「変動の先に投資機会」を参照)。

 

居林通

UBS証券株式会社 ウェルス・マネジメント本部チーフ・インベストメント・オフィス
ジャパン・エクイティリサーチ・ヘッド




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