日本株式 貿易紛争が追い風となるか

米国と中国・メキシコとの貿易摩擦激化を背景に、TOPIX500は年初来の上昇幅の多くを失い、1月の水準に逆戻りしている。だが、グロース株にアンダーパフォームしてきたバリュー株は割安感が強く、買いの好機が訪れているとみている。また、需要が拡大しているオートメーション機器関連銘柄にも投資機会を見出すことができると考えている。

12 6 2019
  • 米国と中国・メキシコとの貿易摩擦激化を背景に、TOPIX500は年初来の上昇幅の多くを失い、1月の水準に逆戻りしている。
  • 日本政府には景気浮揚の手段が限られており、加えて貿易摩擦やそれが企業利益に与える影響懸念もあり、海外投資家は日本株式を敬遠している。
  • だが、グロース株にアンダーパフォームしてきたバリュー株は割安感が強く、買いの好機が訪れているとみている。また、需要が拡大しているオートメーション機器関連銘柄にも投資機会を見出すことができると考えている。

我々の見解

過去2年近く海外投資家は日本株式を敬遠しており、昨年は11兆8,000億円、今年も年初来で8,000億円相当の日本株式を売り越している。アベノミクスによる景気と企業利益の押上げ効果が薄れてきたことが、海外投資家の日本株離れの原因だろう。

しかし、日本企業にも変革の兆しが見えており、海外投資家が日本株市場に戻ってくる可能性がある。5月24日付「組織改革が日本企業の生きる道」で述べた通り、すでに大規模な組織改革を進めている日本企業もある。また、米中貿易摩擦の激化も日本企業への意外な「追い風」になる。中国企業は対中制裁を回避するため、ベトナムなど東南アジアに最終生産拠点をシフトしている。東南アジアは日系機械メーカーの牙城であり、オートメーション化への投資が加速すれば日本企業もその恩恵を受けるだろう。

実際、産業全体にわたり自動化・オートメーション化が進む中、日本の機械メーカーは今後、中国や、製造業の「国内回帰(リショアリング)」の活発化を促している米国等の先進国で、ロボティクス事業の拡大を推し進めていくだろう。こうした潮流が、単に労働コストや法人税率の削減を狙って日本のような高コスト国からタイなどの低コスト国へ生産拠点を移す動きに終止符を打つかもしれない。消費地に生産拠点があれば、企業はカスタマーサービスや新商品開発などの面で高い競争力を発揮できるからだ。

製造業の自動化と聞けば、トヨタのジャスト・イン・タイム生産システムの延長線上にある人件費や在庫の削減といった意味で理解されがちだ。確かに産業用ロボットやその他オートメーション機器を利用することで、コスト削減や生産性の向上を図ることができる。だが、ファクトリー・オートメーションの真の価値は、生産以外の部門に生産データをデジタルで提供できる点にある。こうしたデータがあれば、物流部門では納品の正確性が高まり、販売部門では品質や数量等の生産情報をリアルタイムで共有することができる。自社製造ラインの自動化を実現した企業が、その消費市場の近くに生産拠点を構えることは、生産までの時間短縮や輸送費を踏まえると、合理的な戦略である。また日本の機械メーカーが、日本国内や米国、一部の欧州諸国、中国に新工場を建設するメリットを享受できる態勢が整ってきている。




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