ドル円 短期的には日米国債利回り格差を注視

ここ数カ月のドル円は 1 米ドル=110~115 円のレンジ内で取引されてきた。米国債利回りの上昇がこの為替レートを支えてきた一方で、市場におけるセンチメントの低下が円高圧力となっている。今後はさらなる米国債利回りの上昇が引き続きドル上昇圧力となるものの、現在の水準が長続きするとは思えない。我々は 3 カ月、6 カ月、12カ月のドル円レート予測をそれぞれ 110 円、107 円、105 円に据え置く。

24 10 2018
  •  ここ数カ月のドル円は1米ドル=110~115円のレンジ内で取引されてきた。米国債利回りの上昇がこの為替レートを支えてきた一方で、市場におけるセンチメントの低下が円高圧力となっている。
  •  今後はさらなる米国債利回りの上昇が引き続きドル上昇圧力となるものの、現在の水準が長続きするとは思えない。我々は3カ月、6カ月、12カ月のドル円レート予測をそれぞれ110円、107円、105円に据え置く。
  • グローバルな戦術的資産配分では、米中間の貿易紛争の高まりに備えて、台湾ドルに対する日本円のオーバーウェイトを維持する。

短期的には米国債利回りが引き続き主な変動要因

ドル円は、日米間の10年国債利回り格差の拡大に合わせて(ドル高方向に)上昇してきた。8月中旬から10月初旬にかけて日米の10年国債利回りの格差が40ベーシスポイント(bp)拡大したことも、同期間中にドル円が110円から114.50円に上昇した一因である。

 短期的には、ドル円の上振れリスクは主に米国債利回りのさらなる上昇が要因となろう。過去の感応度分析に基づくと、通常、日米間の10年国債利回りが10bp拡大する都度、ドル円は約1円ずつ押し上げられてきた。よって、米10年国債利回りが3.5%まで上昇し、日本10年国債利回りが日銀の設定した +/-0.2%の目標レンジの上限までしか上がらないと想定したシナリオでは、115円かそれを上回る水準にまでドル円が上昇する可能性がある。

 米10年国債利回りは3%近辺を推移しつつ、時折この節目を下回ることもあると我々は予想している。現在の3.1%水準から弱まる局面があれば日本円の下支え材料になるだろう。1米ドル=115円台は2017年初頭以来の大きな上値抵抗線だ。この水準に急騰すると、投機筋による利益確定売りと、この魅力的な水準での日本の輸出業者によるヘッジ売り(日本円のヘッジ買い)が進む可能性が高い。直近の日銀短観によると、日本の大手製造業の2019年3月期の想定レートは1米ドル=107.40円だった。さらに、ブレグジット(英国のEU離脱)とイタリアの来年度予算案という目先の懸念が英ポンド/円、ユーロ/円などのクロス円取引の下げ圧力となりかねず、その結果ドル円も(ドル安方向に)押し下げられる可能性がある。最後に、11月6日の米国中間選挙が近づき、米国が反中国キャンペーンをエスカレートさせるかもしれない。その場合はリスクオフとなり、円高に向かう可能性がある。

投資判断

  • 我々は、米連邦準備理事会(FRB)がタカ派的な姿勢を維持しており、米国債利回りもさらに上昇する可能性があることから、ドル以外の通貨に対して円に強気の見方を維持する。特に、グローバルな戦術的資産配分では、台湾ドルに対する日本円のオーバーウェイトを継続する。日本円の安全通貨としての役割により、このポジションは、米中貿易紛争の高まりに対する防衛手段としても機能する。
  • 1米ドル=115円に近づくと、日銀は金融政策の正常化に向かい易くなるため、ドル円は円高に振れるリスクが高くなると考える。
  • 我々の見解に反してドル円が上昇に向かう(ドル高方向に動く)とすれば、その大きな要因となるのは、米国のインフレ率の急騰または米国金利の大幅な上昇だろう。



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