通貨コメント 日銀は2018年度のCPI予測を7月に下方修正する

ドル円は、15日(木)に開かれた日本銀行の金融政策決定会合を受けて若干ドル高に振れた。市場のこの反応は、日銀が現在のインフレ基調について楽観的な見通しを示さなかったためだと思われる。

15 6 2018

2018年6月15日

CIO WM Research

Daiju Aoki, Regional CIO Japan

ドル円は、15日(木)に開かれた日本銀行の金融政策決定会合を受けて若干ドル高に振れた。市場のこの反応は、日銀が現在のインフレ基調について楽観的な見通しを示さなかったためだと思われる。金融政策の方針は、予想通り、日銀は一切変更しなかった。また、会合後の記者会見では、黒田総裁は日銀の金融緩和政策の出口戦略を議論するのは時期尚早であり、イールドカーブのフラット化による銀行の収益性への危険は差し迫っていない、との従来の認識を繰り返した。

黒田総裁は、現在の消費者物価指数(CPI)のトレンドについては以前ほどの自信を示さなかったものの、中長期のインフレ見通しに関する発言のトーンは前回の政策決定会合時と変わらなかった。したがって、7月の政策決定会合では、最近の軟調な景気指標の発表を受けて、2018年度(2019年3月期)のCPI上昇率予測(現在は+1.3%)を下方修正する可能性はあるが、2019年度と2020年度のインフレ率については強気のスタンスを維持する可能性が高い。

出口戦略については、黒田総裁は金利水準の調整と膨張した日銀のバランスシートの圧縮の2点が課題になると指摘した。しかし、日本国債の年間の買い入れ増加額のペースについても、日本10年国債金利目標の調整についても言及しなかった。実際、日銀が保有する国債残高の増加額は、2017年末には58兆円に縮小している。これは量的緩和プログラムの事実上の正常化であると我々はみている。日銀は、短期金利は今後も長期にわたって-0.1%を維持するかもしれないが、10年国債金利目標については2018年10-12月期に0%から0.2%に修正すると我々は予想している。日銀は、インフレ率またはインフレ期待が明らかに加速したことが確認できれば、CPIインフレ率2%という目標が達成できていなくても、金利目標を引き上げ始めるだろう。

日銀が7月にCPI予測を下方修正すれば、短期的には市場センチメントを押し上げるかもしれない。しかし、中期的に日銀による金融政策の正常化を市場が織り込み始めると、ドルも円に対して下落し始めるだろう。特に、投資家が米10年国債利回りがこれ以上大きく上昇しないだろうとの確信を高めていく状況ではなおさらである。我々はドル円の12カ月水準を100円と予想している。



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