日本株式 日本でもサステナブル投資が本格化へ ― 日銀がESG投資を開始

日本銀行は「MSCI日本株女性活躍指数(セレクト)」の購入を通じて、ESG投資を開始すると発表した。この発表は、生産性と多様性を改善しようとしている日本政府の方針に沿って、日銀がESG投資に本格的に取り組むとの姿勢を明確に示したものだと我々は考えている。

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2018年4月18日

Chief Investment Office WM

小林千紗、アナリスト; 居林通、日本株リサーチヘッド; 青木大樹、日本地域CIO(最高投資責任者)、Daiju Aoki

  • 日本銀行は「MSCI日本株女性活躍指数(セレクト)」の購入を通じて、ESG投資を開始すると発表した。
  • この発表は、生産性と多様性を改善しようとしている日本政府の方針に沿って、日銀がESG投資に本格的に取り組むとの姿勢を明確に示したものだと我々は考えている。
  • 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に加えて日銀もこうした方針を明らかにしたことで、企業の姿勢が変化し、投資家の投資意欲も高まる結果、我々は長期的に、日本のESG投資には莫大な投資資金の流入が期待できると考える。

我々の見解

2017年11月22日の同テーマの最初のレポートで我々が予想したように、日本銀行はついに環境・社会・ガバナンス(ESG)投資(サステナブル投資:持続可能な投資)を開始すると発表した。日銀は「MSCI日本株女性活躍指数(セレクト)」を投資適格指数に選定し、5月15日に上場する同指数連動ETFの購入を通じてESG投資を開始する予定と考えられる。。同指数は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2017年7月にESG投資を始めた時に選択した3つの指数のうちの一つ「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」と基本的に同じである。その意味で、日銀はESG投資に新たな弾みをつけたと言えよう。

日銀は指数連動型上場投資信託(ETF)を年間6兆円購入しているが、うち3,000億円を「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援する」ETFに、残りの5兆7,000億円をその他のETFに配分してきた。「MSCI 日本株女性活躍指数(セレクト)」は、他の4つの指数とともに、その3,000億円の一部に加えられたのだ。日銀が2016年4月に買い入れを開始して以降、同ETFのリストに新たな指数を加えたのは初めてである。我々は、日銀が設備投資の支援から労働資本と生産性の向上に重点を移したと考えている。

日銀の取り組みが日本ESG投資に弾みをつける

日銀によるESGへの年間投資額は現在それほど大きくないものの、今回の発表は、生産性と多様性を改善しようとしている日本政府の方針に従い、日銀がESG投資に本格的に取り組むとの姿勢を明確に示したという点で重要だと我々は考えている。GPIFに加えて日銀もこうした方針を明らかにしたことで、企業の姿勢が変化し、投資家の投資意欲も高まる結果、我々は、日本のESG投資には今後、投資資金の流入が期待できると考えている。

日本では労働力としての女性の活躍が必要不可欠

日銀による行動がESG分野への投資を拡大するきっかけになると我々が考える主な理由は、日本企業の持続可能な成長のためには、女性労働力の活躍が必要不可欠だからだ。日本は、失業率が(2018年2月に2.5%と)25年ぶりの低水準にあり、生産年齢人口が毎年1%ずつ減少するなど深刻な労働者不足に直面している。日本女性の労働参加率は、米国および経済協力開発機構(OECD)平均よりも実際には高いものの、その45%がなお非正規採用だ(一方、男性労働者に占める非正規採用の割合は13%)。日本企業は今後、女性の非正規社員を正社員に転換する努力を積極的に講じていくと我々は予想している。職場における多様性を改善するため、女性管理職比率の拡大を進める企業も増えるだろう。こうした企業変革が進むことで日本企業の(ESGスコアにおける)「社会(S)」スコアは上昇するはずだ。ESGスコアが上昇し、ESG投資における日銀のリーダーシップが発揮されれば、国内外のESG投資家が日本に注目するだろう。

出所:iStock


ベンチマーク/主要予想/投資テーマ

  • CIOのベンチマークはMSCIジャパン指数である。
  • 日本企業の収益は2017年度は21%の伸びを示すが、2018年度には-3%になると予想している。
  • 企業業績に対する差し迫ったリスクはみられないが、2018年には減速すると予想する。よって、日本株への投資には銘柄を慎重に選択することを勧める。


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