日本株式 デジタル決済の価値

スマートフォンにもいよいよアナログ最後の砦である現金機能を搭載する準備が整ったと我々は考える。デジタル決済は消費者と事業者に大きな利益をもたらすため、紙幣だけでなくクレジットカードでさえも徐々にデジタル決済に取って代わられるだろう。

29 8 2018
  • スマートフォンにもいよいよアナログ最後の砦である現金機能を搭載する準備が整ったと我々は考える。デジタル決済は消費者と事業者に大きな利益をもたらすため、紙幣だけでなくクレジットカードでさえも徐々にデジタル決済に取って代わられるだろう。
  • 労働力不足を背景に生産性の向上が求められる中で、日本でもアナログ現金経済からデジタルマネー経済へと移行する機運が高まっている。

我々の見解

スマートフォンは過去10年間で我々が毎日使い、消費する様々なものを手のひらサイズの端末に組み込んできた。いまではメッセージや写真、映画、音楽、書籍、新聞までもがスマートフォンに取り込まれ、保存されており、物理的なメディアやコミュニケーションの機能は取って代わられている。

そしていよいよアナログ最後の砦である現金機能もスマートフォンに搭載させる土壌が整ったと我々は考えており、今後、デジタル決済システムの増加に伴い、現金決済額が減少すると予想している(図表1参照)。デジタル決済システムは消費者と事業者に大きな利点があり、事業者は今後3~5年でこうした移行を収益化につなげることができるだろう。

経済産業省の2016年の調査によれば、日本では決済金額の80%以上が現金によるもので、キャッシュレス決済比率はわずか20%にとどまっている。しかもキャッシュレス決済の主流はクレジットカードだ。キャッシュレス決済という点では中国、韓国をはじめとする他の諸国の方が各段に進んでいる(図表2および3参照)。日本に現金経済が根強く残っている理由の1つが、人口当たりのATM設置台数の多さだ。2015年のデータでは、日本ではATMが3.4平方キロメートルごとに1台設置されているのに対して、中国は11.1平方キロメートル当たり1台である。また日本ではクレジットカードの浸透率も17%と、中国の44%に比べて低い(2015年現在)。

日本では2026年までに決済金額の40%が現金以外で、また8~10%はデジタルキャッシュ、つまりデジタルウォレットと銀行口座を接続するオンライン非接触型決済システムで行われるようになると我々は予想している。現時点ではまだ幅広く受け入れられていないが、今後2~3年の間にデジタルマネーの勢いが増して2026年までにスイカ(Suica)やパスモ(Pasmo)などのICチップ型プリペイドカードの利用額を上回ると見込んでいる(図表1参照)。

我々は、消費者、小売店、銀行というすべての利害関係者がデジタルキャッシュへの移行を必要とし、それを支持し、その恩恵を受けるとみている。消費者はデジタルキャッシュを使えば自分の資金に簡単にアクセスでき、決済も素早く行えるだけでなく、サービス・プロバイダーが提供するポイントサービスというインセンティブも得られる。一方、銀行はATM台数やその他現金処理に伴う間接費を削減することで費用軽減につなげることができるだろう。また小売店においてもデジタル決済による省力化が人件費の節約に寄与する。こうした要素がデジタル決済を促進すると予想される。




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