日本株式 一本釣りの投資戦略

我々は、今年は日本株式の戦略的資産配分を一貫して中立とし、やや慎重な姿勢を維持してきた。特に過去6カ月は、銘柄を厳選し、質の高い高配当株に注目するよう投資家に勧めてきた。だが、優良株の中には、少なくとも短期的には、妥当な水準以下までバリュエーションが低下したものもあるため、今は投資妙味の高い個別銘柄に厳選投資する好機だと考える。

22 11 2018
  • 我々は、今年は日本株式の戦略的資産配分を一貫して中立とし、やや慎重な姿勢を維持してきた。特にここまでの6カ月は、銘柄を厳選し、質の高い高配当株に注目するよう投資家に勧めてきた。
  • だが、優良株の中には、少なくとも短期的には、妥当な水準以下までバリュエーションが低下したものもあるため、今は投資妙味の高い個別銘柄に厳選投資する好機だと考える。
  • 低水準の株価収益率(PER)(足元の水準は近年の下限近辺にある)と海外勢の大幅な売り越しは、日本株買いの好機となるケースが多い。

我々の見解

今年は日本株投資家にとって厳しい相場が続いている。市場のボラティリティ(変動率)がとりわけ高い中、日経平均株価とTOPIXはそれぞれ年初来4.4%、10.3%下落した。我々は、今年は一貫して戦略的資産配分を中立とし、やや慎重な姿勢を維持してきた。その根拠は2つある。まず、日本企業の利益がまもなく減速し始めると我々が予想していたことだ。2つ目は、業績が良好な企業の多くのバリュエーションは割高であったことである。そのため我々はここまでの6カ月は、銘柄を厳選し、質の高い高配当株に注目するよう投資家に勧めてきた。

だが、最近2つの事象から戦術的な投資機会が開けたと考える。1つ目は、予想を下回る企業業績を背景に、海外投資家が今年に入って9兆円もの日本株を売却したことだ(図表1参照)。アベノミクスを機に海外投資家の日本株の売買動向は買い越しとなり、2012年から2017年末までの累計買い越し額は約14兆円となっていた。したがって、海外投資家による今年の大幅な日本株売りは、アベノミクスと日本企業の業績見通しに対する悲観的な見方を反映したものだとみている。これは重要なことである。というのも、海外投資家の取引高は日本株全体の約70%を占めており、海外勢の大幅な売りは日本株買いの好機となるケースが多いからだ(2018年3月27日付レポート「政治的イベントが短期的な投資機会を提供する」を参照)。

2つ目は、2017年に高パフォーマンスを上げた銘柄(海外投資家が所有するクオリティ株)のバリュエーションが、米中貿易摩擦と企業利益の伸びに対する懸念を受けて、この3カ月で軒並み急落していることだ。パフォーマンスの上位銘柄と下位銘柄の今年のバリュエーション格差はここにきて2016年と同程度にまで縮小している。2017年にアウトパフォームした上位銘柄の2018年の株価収益率(PER)は、2017年の下位銘柄のPERを下回るまでに低下している(図表2参照)。2017年にアンダーパフォームした株式の多くは、海外投資家が好む銘柄ではなかったため、最近の株価急落による影響はさほど大きくなかったとみられる。

この結果、業績予想がまったく、あるいはほとんど変化していないにも関わらず、一部のクオリティ株のPERは15%以上低下した。これは売られ過ぎの優良銘柄に対する戦術的な買い場になると考える。我々はこの6カ月間そうした機会をうかがってきた。




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