日本株式 日本株式: 険しい行く手

我々は、企業業績の伸び鈍化が予想されることなどから、今年は日本株式をニュートラルとしてきた。2019年3月期から2020年3月期にかけて、前期に発生した一時的なプラス効果の反動があるとみており、企業収益には引き続き慎重な見方を維持する。しかし、最近の株価調整幅により、日本株は年初から11%下落しており、下値リスクは低下しているとみられる。

26 10 2018
  • 我々は、企業業績の伸び鈍化が予想されることなどから、今年は日本株式をニュートラルとしてきた。
  • 2019年3月期から2020年3月期にかけて、前期に発生した一時的なプラス効果の反動があるとみており、企業収益には引き続き慎重な見方を維持する。
  • しかし、最近の株価調整幅により、日本株は年初から11%下落しており、下値リスクは低下しているとみられる。このため、短期的には日本株のリスク調整後リターンと、一部の高配当銘柄はともに魅力が高まっている。

我々の見解

日本株式は今年に入り値動きの荒い展開が続いており、適温相場だった2017年後半とは様相が異なる。22,764円で今年の幕を開けた日経平均は、米中貿易紛争や安倍内閣の森友・加計問題をめぐる懸念が高まる中、3月下旬に20,617円まで下落した。だが、9月の自民党総裁選で安倍首相が勝利すると、海外投資家からアベノミクスが再評価され日経平均は10月初旬に27年ぶりの高値である24,270円まで上昇した。しかし、このアベノミクスの見直し買いは長続きせず、米中貿易摩擦をきっかけに中国株式が下落すると、10月下旬に22,000円を割り込んだ。

我々は、今年は一貫して日本株式をニュートラルとしてきた。3月の株価急落局面では買いの好機と捉えたが(「政治的イベントが短期的な投資機会を提供する」を参照)、それ以降は投資銘柄を慎重に選定する姿勢を維持してきた。下値リスクに対するヘッジとして高配当銘柄に注目し、投資機会が顕在化した時点では、一部推奨銘柄の利益確定売りを推奨した。

2017年~2018年に起きた予想外の3つの出来事 

我々は2017年6月のレポート「次はどこに向かうのか?」の中で、2017~2018年における日本経済と企業収益の見通しについて議論した。そこでは、2018年に日銀の金融緩和政策の効果が剥落するため企業業績の伸び率が減速し、円安トレンドが終わりを迎えると論じた。

後者の予測は現実化し、ドル円は今年105-115円で推移しているが、日本企業の業績は拡大し続けている(図表1参照)。その結果、それまで高かった米ドルと日経平均の相関は、2017年半ば以降、崩れている。この相関の低下は、日本企業が海外競合他社に対して競争力を回復してきたからだと見る向きもある。しかし、日本企業の純利益率は5%近辺で推移し、株主資本利益率(ROE)は8%をわずかに上回る水準に留まっている。どちらの指標も先進国の中では最低水準にあり、この見方には賛成できない。むしろ、2017年半ば以降の企業業績の伸びは、予想外に発生した3つのプラス材料が大きな要因だと我々はみている。つまり、日本と米国の法人実効税率の引き下げ(日本は34.6%から29.9%に低下)、そして中国における設備投資の増加だ。我々の分析によると、この3つの要因は2018年3月期の利益を15%押し上げた(トータルの利益増益率22 %のうち15%がこの3要因による)。2019-2020年3月期にはこうした一時的な効果の剥落が予想されるため、企業収益を引き続き注視している。




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