日本経済 日銀:緩和政策の持続性を強化

日本銀行は7月31日の金融政策決定会合で、長期金利(10年国債金利)目標、資産買い入れのペースをいずれも維持したまま、金融政策の柔軟化を導入することを決定した。

31 7 2018
  • 日本銀行は7月31日の金融政策決定会合で、長期金利(10年国債金利)目標、資産買い入れのペースをいずれも維持したまま、金融政策の柔軟化を導入することを決定した。
  • 黒田総裁は日銀が10年国債金利の上限を現在の0.1%から 0.2%程度まで容認する考えを明らかにした。
  • 我々は、日銀は長期金利目標を中期的には引き上げるとの見方を維持している。だが、日銀がインフレ率が加速していると確信した場合には、金利誘導目標を「ゼロ%程度」以内とする方針を維持したまま、実質金利のさらなる上昇を容認する可能性がある。

日銀は31日の金融政策決定会合で、「10年国債金利についてある程度の調整はしつつも目標は引き上げない」方針を明らかにした。市場では長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の一環として金利目標の引き上げが事前に観測されていたため、この結果は若干の失望を招いた。これを受けて、長期金利は日中に0.12%の高値水準をつけた後、0.06%まで低下した。

イールドカーブ・コントロールの柔軟性を高める:だが、本日(31日)の決定は、イールドカーブ・コントロールと量的緩和策を柱とする現在の金融政策の枠組みに柔軟性を加えるものだ。日銀は31日の声明文で、短期金利を -0.1%に、10年国債金利の誘導目標を「ゼロ%程度」とする方針を維持したうえで、「金利は経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとする」と明記した。したがって、金利目標を維持しつつも、10年国債金利の0.1%を上回る水準への上昇を容認する可能性が高い。黒田総裁は記者会見で、10年国債金利の取引レンジは現行の 「プラスマイナス 0.1%」の倍に相当する「プラスマイナス0.2%」を念頭に置いていることを明らかにした。

資産買い入れにも柔軟性:量的緩和策については、年間80兆円を目途とする長期国債買い入れペースを維持しつつ、「資産の買い入れをより弾力的に運営していく」との文言を付け加えた。上場投資信託(ETF)および日本の不動産投資信託(J-REIT)についても、買い入れ額を現在の年間約6兆円と年間約900億円とする方針は維持するものの、「市場の状況に応じて、買い入れ額は上下に変動しうるものとする」とした。日銀は金融緩和の長期化を覚悟しており、ETFとJ-REITについても買い入れ額を柔軟化していくと我々は見ている。

ETFの銘柄別買い入れ配分の見直し:日銀はETFの銘柄別買い入れ配分を見直し、東証株価指数(TOPIX)連動型は買い入れ額を増やし、日経平均連動型の割合を縮小する(図表3参照)。これはほぼ予想通りの内容だった。TOPIX連動型ETFの買い入れ拡大は銀行および輸送用機器業の株価にはプラスだが、小売業、電気機器、情報・通信業にはマイナスに作用する可能性がある。TOPIXと日経平均では対象銘柄と配分が異なるためだ。

マイナス金利が適用される政策金利残高の減少:日銀は短期金利(金融機関が保有する日本銀行当座預金に適用される金利)を維持するものの、マイナス金利が適用される政策金利残高を10兆円程度から5兆円程度に減少させる。この決定が短期金利に及ぼす影響は、長期金利への影響に比べれば小さいと思われる。いずれにせよ、マイナス金利適用残高の減額は、若干の金融引き締めと解釈できるだろう。




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