Monthly Letter 7月号 捕食者か被食者か?

投資では先を見通すことは何よりも大切である。我々は、将来の経済トレンドを認識し、ウイルスへの不安が大きかった昨年にリスク資産の保有比率を引き上げた。

by Mark Haefele 2021年 06月 17日

読者は恐らく、ニワトリや羊、シマウマのような動物は顔の両側に目がついているのに対し、オオカミや虎、フクロウなどは顔の正面についてることに気付いているだろう。前者のグループは肉食動物の餌食にならないように、自分の周囲を警戒する必要がある。後者のグループは獲物を捕まえることに集中しているので、遠いところまで見渡し、獲物との距離を正確に把握することが非常に重要だ。

投資において、先を見通すことが何よりも大切である。我々は、将来の経済トレンドを認識していたことから、ウイルスへの不安が大きかった昨年にリスク資産の保有比率を引き上げることができた。また、ワクチン接種が本格的に始まる前の昨年9月には、経済活動の再開とリフレーション取引の恩恵を受けそうな銘柄の比重をやや高めた。

今日、経済は再開しつつあり、インフレ率は上昇し、株価の変動率は新型コロナ危機前以来の最低水準にある。ところが前方には、違った光景が見える。

第1に、米国と欧州の経済は順調に再開しそうだが、最良の投資機会はアジアに移りつつあると考える。ワクチン接種の進展が各国の国内市場に好影響を与えているからだ。我々は日本株式を推奨する。今年前半には日本株式は低迷したものの、現在では日本の1日あたりのワクチン接種回数は全人口の1%以上にまで加速しているからだ。インドでも、ワクチン接種の進展と感染率の低下が株式市場を押し上げている。一方、中国企業は来年に大幅増益が予想され、株式市場はその恩恵を受けるだろう。

第2に、前年比効果と新型コロナ危機関連の供給不足問題が消えるため、インフレ率は現在の高水準から低下するだろう。その結果、各国中央銀行は大胆な政策を講じる圧力から当面解放され、実質利回りは今後もマイナス圏を推移すると予想する。したがって、投資家は保有する資産に関して購買力を維持し、リターンを生み出す機会を探す必要があるだろう。具体的には米ハイイールド債とアジア・ハイイールド債、一部の高配当株式、および代替投資で利回りを追求する戦略を推奨する。米国とアジアの超大型ハイテク株には目先では上昇のチャンスは限られるだろう。ただし、欧州のデジタル関連のトップ企業には投資機会が見出せる。具体的には5G(第5世代通信)、フィンテック、グリーンテック、ヘルステックといったトレンドに関連している中小型株、およびデジタル・サブスクリプション・ビジネスなどだ。さらに先を見据えると、インフレ見通しはまだ不透明で、米連邦準備理事会(FRB)は高インフレがまだ続く可能性を認識している。長期のインフレ防衛策としては、Q-GARP(質が高い割安成長株)、プライべート市場のインフラ関連企業、コモディティを推奨する。

最後に、経験則に従えば、ボラティリティ(相場の変動)はいずれ戻ってくるだろう。投資家はボラティリティが低下している間に、次の相場の大きな変動に備えることができる。戦略としては、大幅に上昇している株式の利益確定や、ヘッジファンドへの分散投資が考えられる。

インフレ率の低下とFRBの対応策に対処する

5月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比5%上昇と、2008年以来で最も高かった。ユーロ圏のCPIも+2%と、2018年10月以来の高水準を記録した。アジアでは、工場直渡し価格の上昇率が過去10年で最大となっている。

今後は、インフレ率は低下を予想する。昨年値下がりしたエネルギー価格による前年比効果がインフレ率の計算から剥落し始め、原油価格の米国CPIへの直接的な影響は年末までにほぼ半減するだろう。エネルギー以外では、物価を押し上げる費目は非常に少ない。5月に中古車を買わなかった米国人にとっては、インフレ率は5%というよりも4%に近いというのが実感のはずだ。車に乗らない消費者には1.5%程度だったであろう。

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