House View Weekly 変異株をめぐる懸念は行き過ぎ

欧米での感染再拡大にもかかわらず、先週のグローバル株式は前週比1.2%上昇し、史上最高値を更新した。

2021年 07月 26日

今週の要点

変異株をめぐる懸念は行き過ぎ

感染力が強いデルタ株の新規感染者数が再び増加している。これを受けて先週は株式市場のボラリティリティ(価格の変動率)が高まり、7 月 19 日にはグローバル株式の 1 日の下落率が 1.6%に達した。米疾病対策センター(CDC)によると、米国では新規感染者数が前週比で 70%近く増加、死者数も 26%増加した。バイデン米大統領の首席医療顧問を務めるファウチ国立アレルギー感染症研究所長は、デルタ株が世界で主流になったと指摘した。しかし、欧米での感染再拡大にもかかわらず、先週のグローバル株式は前週比 1.2%上昇し、史上最高値を更新した。この反発は複数の理由から正当化できると考える。まず、ほとんどのエビデンスは、ワクチンが新たな変異株にも有効であり、感染しても死亡や入院のリスクを抑制する効果があることを示している。例えば、CDC は新型コロナウイルスによる入院患者の 97%はワクチン未接種だったとも伝えている。医療体制のひっ迫が緩和され、全国的なロックダウンのリスクは後退した。経済は正常化への道を歩み続け、成長と株式を引き続き支えていくと考える。こうした中、投資家の焦点は、堅調な企業業績の伸びと金融政策による支援継続に集まると予想する。

要点:パンデミックが今後もボラティリティをもたらす可能性が高く、世界のワクチン接種もピーク時の 1 日当たり 4,000 万人から 2,900 万人に減少しているが、ウイルス感染抑制に向けた進捗は今後も続くだろう。我々は経済再開と景気回復の恩恵を受けるセクター・銘柄に注目することを勧める。

好調な米企業決算がリフレトレードを後押し

米企業の 4‐6 月期(第 2四半期)の決算発表シーズンは好調なスタートを切った。変異株の感染拡大懸念から一時売り優勢となった市場も、米企業決算への期待感から早期に回復し、S&P500 種株価指数は先週 1 週間で 2%上昇し最高値を更新して週を終えた。これまでのところ、S&P500 種の時価総額の約 25%が業績を発表し、87%が事前予想を上回った。発表を終えた企業全体で業績予想を 20%程度上回っている。好調な決算発表は市場全体のセンチメントを後押しするだけでなく、グロース(成長)株から景気敏感株へのローテーション(資金移動)も下支えすると予想する。景気敏感株が買われるリフレトレ ードの潮流はこのところ反転し、ラッセル 1000 バリュー指数は 6 月上旬以降 2%下落しているのに対し、グロース指数は 10%上昇している。しかし、決算発表が本格化する中、業績予想を上回る比率は、金融の 25%をはじめシクリカル・セクターが最も高く、一方、グロース・セクターはテクノロジーでも 10%にとどまっている。今週は複数の巨大テクノロジー企業が業績発表を予定しているが、ベース効果の剥落により前年比での増益が厳しくなることから、今後数四半期は予想を上回ることが困難になると予想される。

要点:好調な企業業績が株価を下支えする見通しである。コンセンサス予想は、前四半期比 72%の増益を予想しているが、我々は決算発表シーズン終了までには 80%に達するとみている。S&P500 種の今年の利益は前年比で 40%増(EPS:200 米ドル)、2022年は同 10%増益(220 米ドル)を予想している。金融、資本財、エネルギーなどの景気敏感セクターが次の上昇局面を主導すると予想する。

中央銀行による金融緩和は継続

各国中央銀行が早期に金融引締めに動き出し、経済成長に歯止めをかけるとの警戒感から、このところボラティリティが高まっていた。しかし、各国中央銀行の最近の動きと発言は、こうした懸念が行き過ぎであり、成長を支援する方針に変わりはないことを示唆している。欧州中央銀行は先週、市場へのフォワードガイダンスを更新し、低インフレへのテコ入れとしてマイナス金利を継続する方針を示した。ラガルド総裁は新型コロナ感染拡大の緊急対策として打ち出した 1.85 兆ユーロの債券購入プログラム(「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」)についても、縮小を議論するのは「全くもって時期尚早」と発言した。これに先立ち今月上旬には、中国人民銀行が 2020 年 1 月以来初めて、中国のほぼすべての銀行に対する預金準備率(RRR)を 50 ベーシスポイント引き下げると発表した。こうした動きは、景気回復の動きにばらつきが強まる中、中国が成長重視のスタンスを取っているという我々の見方を裏付けるものである。最後に、米連邦準備理事会(FRB)は 27-28 日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、資産購入縮小(テーパリング)に向けた動きは緩やかなペースで進めることを改めて強調すると予想される。FRB のパウエル議長は、「雇用について大幅な進展」が見られるようになるまで債券購入が続くことを示唆している。先週発表された 7 月 17 日までの 1 週間の新規失業保険申請件数は前週比 51,000件増の 419,000 件と予想外に増加しており、この条件を満たすには至っていないことが明らかになった。

要点:各国中央銀行による金融緩和継続が株価を下支えする一方で、利回り追求も従来より難しくなる。しかし、安定配当株やハイイールド債、シニアローンなど、有効な手段は存在する。

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