S&P500種が3,000台を回復

経済再開後も、今のところ新型コロナウイルスの感染拡大が悪化する兆しは見られないことから、S&P 500種株価指数は先週、3月5日以来初めて3,000台を回復した。一方、7,500億ユーロにのぼる欧州連合(EU)の支援パッケージをはじめ政策支援が相次いで打ち出されているほか、金融環境も緩和が続いている。こうした状況下、厳選したシクリカル(景気敏感)銘柄とバリュー銘柄、さらに米国の中型株をポートフォリオに加えることで、一段の上昇機会を捉えることが可能だと我々は考えている。これらのセグメントはコロナ危機以降の上昇局面で出遅れており、楽観シナリオにおいて反発を牽引する可能性が高い。例えば、先週は米国のバリュー株が成長株を2.5%ポイントアウトパフォームし、米国の中型株が大型株を1.3%アウトパフォームした。楽観シナリオでは、特に英ポンドに対する米ドルの下落も予想される。

要点:最近の市場の上昇局面で出遅れた一部の銘柄が株価反発を牽引する可能性が高い。

米中の対立が市場の不透明感を助長

トランプ米大統領は5月29日、1992年の香港政策法で香港に認めてきた優遇措置を廃止する手続きを開始すると発表した。だが、米政府は短期的には極端な措置は取らないとの見方から、ハンセン指数は1日月曜日に3.4%上昇した。米政府内では党派を問わず中国に対してタカ派の論調が強まっており、米中関係の悪化と米中貿易協定の第1段階の行方について懸念が高まっている。米中ともに深刻な景気後退に直面するなか、新たな関税が発動される可能性は低い。とはいえ、ヘッジファンド、ダイナミック・アセットアロケーション等のアクティブ運用戦略や金、物価連動国債(TIPS)など、下振れ余地に備える策を講じることを勧める。

要点:分散投資を通じて下振れリスクを抑えることが重要である。

混乱から生じる機会

独ルフトハンザ航空は、20%の出資受け入れと引き換えにドイツ政府から90億ユーロの緊急援助を受ける予定である。これにはEUによる承認が条件となる。ルフトハンザの取締役会は、今回の援助は「支払い能力を維持する唯一の選択肢」としている。資金繰りが悪化する企業への政府支援は継続されるだろうが、一方で投資家は、この緊急事態に、こうした企業に資金を投じることもできるだろう。

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