House View Weekly 第 4 四半期をめぐる 5 つの問い

第 4 四半期に入り、市場の先行き不透明感が高まっている。米大統領選挙をほぼ 1 カ月後に控え政治的な不確実性に注目が集まっているが、トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染して混迷の度がさらに深まっている。米国では追加経済対策をめぐり共和党と民主党の法案に大きな隔たりがあり、審議が膠着状態に陥っている。先週発表された 9 月の米国非農業部門雇用者数からは雇用市場の回復鈍化が示唆された。こうした状況を踏まえ、よく聞かれる質問に対してお答えしていきたい。

2020年 10月 05日

今週の要点

トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染

トランプ米大統領とメラニア夫人が新型コロナウイルスに感染したとの報道を受けて、先週はグローバル株式が反落した。インプライド・ボラティリティ(予想変動率)も上昇し、VIX指数は30付近で推移している。市場はトランプ氏のコロナ感染が大統領選の行方とコロナ対策に与える影響に注目している。自主隔離が必要なことから、激戦州でのトランプ大統領の選挙活動は縮小されるだろう。残りの大統領候補者討論会が開催されるかどうかも不透明だ。だが、過去の選挙戦では、討論会の結果が選挙結果にさほど影響しなかったことも事実である。大統領選がほぼ一カ月後に迫る中、混迷を深める選挙戦終盤を切り抜けるためにはポートフォリオの分散がますます重要になる。トランプ大統領の新型コロナ感染により、経済がいまなお「モアノーマル」(より正常な)環境にまで回復していない現状も一層意識される。これを機にコロナ対策が見直されるとすれば、行動規制が緩和されるよりも強化される可能性が高く、経済と市場の見通しへの不透明感が再び高まるかもしれない。しかし、総合的に見れば、ワクチン開発の進展、米国の追加経済対策の成立、米国の政策をめぐる不確実性の解消等を前提とした上で、我々は株式の中期的な見通しについて強気の見方を維持している。特に「モアノーマル」に向けた回復進捗から恩恵を受けるとみられる銘柄に注目したい。

要点:選挙をめぐる不透明感は、投資家にとって短期的な問題である。株式の中期的な上振れを捉えるポジション構築を勧める。

コロナ禍の直撃によるレイオフ

米ウォルト・ディズニーはテーマパーク、クルーズ船、小売事業部門で合計約2万8,000人(67%はパートタイム)の従業員を削減すると発表した。運輸業や観光・娯楽でも同様の動きが相次いでおり、米航空大手のアメリカン航空とユナイテッド航空は先週、両社合わせて約3万1,000人の人員削減策を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大による影響が最も深刻なのは運輸業、エネルギー、娯楽、小売業界であり、他の業界ほど迅速に回復しない恐れがある。しかし、財政・金融政策は企業活動の回復を下支えしており、ディストレスト投資によって、瀬戸際にある企業が嵐を乗り切るサポートをしつつ、魅力的なリターンを獲得する機会も存在する。ヘッジファンドやプライベートクレジットの運用会社には、アクティブなディストレスト戦略で瀬戸際にある企業を支援しつつ魅力的なリターンを上げる好機だと考える。

要点:ポートフォリオの一部をプライベート(非公開)市場に配分し、低い流動性と引き換えに潜在的な収益機会を狙う戦略も有効と考える。

第 4 四半期をめぐる 5 つの問い

第4四半期に入り、市場の先行き不透明感が高まっている。米大統領選挙をほぼ1カ月後に控え政治的な不確実性に注目が集まっているが、トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染して混迷の度がさらに深まっている。米国では追加経済対策をめぐり共和党と民主党の法案に大きな隔たりがあり、審議が膠着状態に陥っている。先週発表された9月の米国非農業部門雇用者数からは雇用市場の回復鈍化が示唆された。また、世界で新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、イギリスではパブなどの営業時間の短縮、フランスでも制限措置が再度実施された。ニューヨーク市でも一部地区でロックダウンの再導入が検討されている。株式市場のインプライド・ボラティリティ(予想変動率)は高止まりしており、VIX指数は30近くで推移している。

こうした状況を踏まえ、よく聞かれる質問に対してお答えしていきたい。

政治的不確実性は株価に影響するか? 短期的にはボラティリティが続くと予想される。米大統領選の第1回候補者討論会では分断と非難の応酬が目立ち、トランプ大統領が選挙結果に異議を唱える可能性が示唆された。トランプ大統領は連邦最高裁判事に指名したバレット氏の承認を急がせているが、大統領自身が新型コロナウイルスに感染するという新たな問題が生じ、残りの選挙活動の行方が不透明になっている。ただし、選挙をめぐる不透明感は短期の問題である。総合的に見れば、ワクチンの開発を受けて行動制限が徐々に解除され、米国の新たな財政刺激策が最終的に可決されれば、経済が「モアノーマル」に向かい、株式の一段の上昇を後押しすると予想する。

テクノロジーはバブル直前か? テクノロジー株はバブルに陥ってはいないと考えている。ドットコムバブルの最盛期には世界のテクノロジーセクターの株価収益率(PER)が62倍にまで拡大したのに対し、足元のバリュエーションは約25倍と当時を大幅に下回っている。PERを1株当たりの予想利益成長率で割って算出するPEGレシオも、予想利益成長率18%を前提として場合、1.4倍と妥当な水準である。過去5年間に世界のテクノロジーセクターは何度も修正局面を経験し、天井から底までで概ね10‐12%下落している。今年9月に世界のITセクターが下落した局面では、下落率は最大で10%であった。ただし、上昇したテクノロジー銘柄が一部に集中していたこと、米中のハイテク覇権争いにより世界の二極化が深まりつつあることを考慮すると、分散投資のアプローチが望ましい。コロナ禍で加速したトレンドの恩恵を受けると考えられる幅広いセクター・銘柄へのエクスポージャーを勧める。

シクリカル銘柄とバリュー株の回復は続くか? 記録的なアンダーパフォーマンスを経て、バリュー株はグロース株に対する出遅れを取り戻し始めた。米国株式は9月2日にピークを付けて以降、ラッセル1000グロース株指数が8%下落したのに対し、バリュー株指数は4%の下落にとどまっている。9月に見られたテクノロジーセクターからのローテーション(資金移動)は、経済が再開・回復し始める中で、「モアノーマル」な経済環境へのシフトが進捗しているとの投資家の見方が広がってきたことが一因である。しかし、上述したように、このシフトはいずれは実現すると我々はみているが、その時期についてはなお不透明である。バリュー株が持続的に回復するには、「モアノーマル」に向けたより明確な道筋が見通せることが必要である。さらに、低金利がグロース株のバリュエーションを支えていることから、金利の上昇も必要であるが、これはまだ当分先になるだろう。よって、現時点では銘柄を厳選し、市場の回復に出遅れている分野に注目することを勧める。英国株式、米国の中型株、新興国のバリュー銘柄、世界の資本財等が有望とみる。

中央銀行の政策は市場にとって何を意味するか? 米連邦準備理事会(FRB)は8月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、平均で2%のインフレ目標を達成する新たな枠組みを導入した。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁もFRBと同様の戦略は検討に値すると発言した。FRBの最新の経済見通しでは、金利が少なくとも2023年末まで据え置かれると予想している。各国中央銀行もさらなる金融緩和策の長期化を示唆している。世界的な低金利下で、市場では利回り追求の動きが高まっている。キャッシュと高格付債の実質リターンは目先、マイナスになることが予想される。しかし、クレジット・スプレッドは確かに縮小しているが、債券は依然としてインカム創出の手段として有効と考える。特に、米ドル建て新興国国債、欧州のクロスオーバー債、グリーンボンド、アジアのハイイールド債等を勧める。また、高配当株にも投資妙味が見出せる。

サステナブル投資に投資すべきか? 一言でいうと、「投資すべき」と考える。各国政府は環境対策を新型コロナウイルスからの復興計画に盛り込んでおり、サステナブル投資に弾みがついている。投資家もこのトレンドの波に乗り、2020年6月時点でのサステナブル専門投資ファンドの投資残高は1兆米ドル超と、2018年末の6,000億米ドルからわずか18カ月で急増している。不安定な市場環境にありながら、サステナブル投資商品は従来の商品に匹敵しまたはそれを上回るパフォーマンスを上げている。例えば、今年上期のサステナブル投資ファンドの72%が、モーニングスターの各カテゴリーの上位50%にランクインしている。サステナビリティ重視の機運により、低炭素社会への移行、廃棄物管理、食の未来等に関与している企業など、破壊的イノベーション分野に投資機会が期待できる。我々は、好機が到来しているサステナブル投資を、世界の投資家に推奨するソリューションとして位置づけている。

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