Monthly Letter 5月号 景気サイクルは終わりか延長か?

経済成長が続いているときにインフレ率が低ければ、景気サイクルは見た目よりも若いのかもしれない。景気サイクルはどの程度成熟しているのか?

17 4 2019

景気サイクルはどの程度成熟しているのか?同じ質問を、下の絵の女性について考えてみよう。この有名な「隠し絵」が初めて登場したのは1888年、ドイツの郵便はがきだったと言われている。絵の中にいるのが若い女性なのか、それとも老婆なのかは、見る人の視点によって異なる。

有名な「隠し絵」

世界金融危機から10年が経過し、現在の景気サイクルが成熟したように見えるとエコノミストたちは主張するかもしれない。しかし、もしFRBが利上げを「終了」したとすると、エコノミストはその判断を誤りだとみるだろうか?

景気サイクルとは何かに関する従来の常識を我々はよく承知している。景気が拡大すると、需要に応えるための資源がいずれ足りなくなる。すると物価は上昇し、インフレを食い止めようと利上げが実施され、景気は減速に向かう。その結果、インフレ圧力は低下し、利下げが実施され、需要は伸び、新たな景気サイクルが始まるというわけだ。

このレンズを通して眺めると、景気サイクルは現在後半に入ろうとしていると簡単に結論づけられるかもしれない。低失業率と賃金の上昇に直面し、米連邦準備理事会(FRB)は2015年12月以降引き締めを進めてきた。そして2018年の年末から経済成長は鈍化している。この動きを受けて、債券市場は景気減速が近づいているとみて、FRBの次の行動は利下げであることをすでに織り込んでいる模様である。

しかし、我々は同じデータを眺めてそれとは違う結論を引き出すこともできる。FRBは利上げを続けてきたが、それは政策金利を「中立」水準へと正常化するためだけのものだったという見方だ。インフレ圧力が小さいため、FRBには需要を抑える理由がほとんどない。こちらのレンズを通して眺めると、経済から資源が枯渇して、FRB(あるいは他の中央銀行)が追加利上げを迫られるまでにはまだ数カ月、あるいは数年かかりそうだ。長期債利回りの低下は、景気後退が近づいている兆候というよりは、安定したインフレ率を維持するのに必要な長期金利の水準が変化したとの見方を反映したものなのかもしれない。

我々の基本シナリオでは、インフレ率は緩やかなペースでしか上昇せず、ここ数年間の安定成長と低金利が今後も続くと想定している。しかし、バリュエーションが上昇して期待リターンが低下し、政策の誤りを懸念して市場ボラティリティ(変動率)が高まる可能性が出てきたため、我々はリスク資産の保有比率を調整して、必要に応じヘッジも利用している。

今回は最長の強気相場だが…

第二次世界大戦後の強気相場(月数の合計)

...上昇率を見る限り、現在の強気相場はまだ「若い」可能性がある



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