Investor's Guide 5月号 景気サイクルは終わりか延長か?

経済成長が続いているときにインフレ率が低ければ、景気サイクルは見た目よりも若いのかもしれない。景気サイクルはどの程度成熟しているのか?

26 4 2019

戦術的推奨

資産配分

世界の景気指標は安定化の兆候をしだいに強めている。特に中国の直近の数値は、今年下期に景気の再加速を予想する我々の基本シナリオを裏付ける形となっている。我々は株式、通貨、債券の各資産クラス内でレラティブ・バリュー(裁定取引)のポジションを追加しており、ポートフォリオの戦術的な(短期的な)リスクが若干高まっている。一方、グローバル株式は、経済環境の改善と、中央銀行の金融政策見通しが年初からハト派寄りに転換したことをすでに織り込んでいる模様だが、世界的な貿易摩擦リスクは収まっていない。よって、全体として債券に対する株式のニュートラル・ポジションを維持する。

債券

欧州投資適格社債はスプレッドが我々の予想レンジの下限に達したが、今後3カ月は欧州中央銀行(ECB)のハト派的な金融政策と銀行セクターへの追加支援により下支えられるだろう。高格付債に対する欧州投資適格社債のオーバーウェイトと、2年イタリア国債のアンダーウェイトを開始する。このポジションの組み合わせにより若干のキャリー収入が得られるだけでなく、イタリアのリスクが再燃した場合に、下落リスクへのヘッジとしても機能する。日本円のキャッシュに対する日本10年国債のアンダーウェイトを継続する。今後6カ月の世界の金利は、低下よりも上昇する可能性が高いとみている。

株式

世界でも特に割高なスイス株式をアンダーウェイトとし、新興国株式とカナダ株式をオーバーウェイトとする。我々の基本シナリオでは、世界の経済成長率は長期トレンド近辺に収束し、今後6カ月で原油価格はここからさらに5~10%上昇し、米中貿易摩擦はこれ以上激化しないと予想している。以上を背景に、景気循環関連銘柄が多く、かつ現在割安な水準にある新興国株式とカナダ株式は、スイス株式のパフォーマンスを上回るだろう。また、ユーロ圏株式に対する日本株式のオーバーウェイトを開始する。欧州の製造業データが今後数カ月で改善する可能性はあるが、ユーロ圏株式の上昇余地は限定的であろう。日本企業のコンセンサス利益予想は下方修正が続いているが、アジアの景気サイクル改善が追い風となって今後安定するだろう。米国の輸入自動車・自動車部品への追加関税リスクは残っているが、特に対ユーロ圏株式では、日本株式は上振れリスクの方が大きいとみている。

外国為替

今月は、スイス・フランに対するノルウェー・クローネのオーバーウェイトを継続するとともに、スイス・フランに対するユーロのオーバーウェイトとカナダ・ドルに対するノルウェー・クローネのオーバーウェイトの2本の通貨ポジションを開始する。スイス・フランに対するユーロのオーバーウェイトは、欧州の景気指標の好転(控えめな期待を上回り始めている)、ECBの政策バイアスの見直し(今後は緩やかに金融政策の正常化に向かうと思われる)、中国の景気指標の改善によるリスク選好度の上昇、米中通商協議の一定の進展などが追い風となるだろう。カナダ・ドルに対するノルウェー・クローネのオーバーウェイトは、予想される両国中央銀行間の金融政策の乖離(ノルウェーは利上げが予想されている)の恩恵を受けるだろう。さらにこのポジションは、ノルウェー・クローネ/スイス・フランほどには原油価格の影響を受けないため、一定の分散投資効果も期待できる。

長期資産配分(1~4年)

今後(ブレグジット後)の英国株式市場は、従来よりもボラティリティ(変動率)が上がると予想し、アンダーウェイトとしている。米ドル建て新興国国債は、相対的に今後長期的な価値があると予想し、オーバーウェイト・ポジションを維持する。さらに、投資家には通貨ヘッジをしない形で日本株式へ投資することを推奨する。日本円は大幅な割安水準にあり、米ドル、ユーロ、スイス・フランに対して今後長期的に上昇する可能性があるからだ。



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