Investor's Guide 4月号 MMTをめぐる論争

今月初め、ブルームバーグが「MMTウォーズが始まった」と題し論評を掲載した。経済理論に関する論争を、映画「スター・ウォーズ」のジェダイ・マスターであるヨーダのような論争と捉え、MMT(現代貨幣論)とスター・ウォーズの銀河戦争を結びつけるのは、奇妙にも聞こえる。しかし、MMTに関する論争は、投資家のポートフォリオに重大な影響を及ぼすことには変わりない。

28 3 2019

戦術的推奨

資産配分

米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)の金融政策見通しが年初からハト派寄りに転換したことを引き金に、グローバル株式市場は大幅に反発している。一方、最近の景気指標は強弱まちまちな状況が続いており、我々は世界の経済成長が安定するという我々の基本シナリオを裏づけるデータを待っている。我々の基本シナリオに変更はないものの、好材料の多くが市場にすでに織り込まれており、企業利益の短期的な失速リスクと地政学的な懸念は根強く残されている。よって、グローバル株式のオーバーウェイト幅を縮小する。戦術的な(短期的な)株式全体のポジションは(英国株式の長期的なアンダーウェイトも含めて)現時点で差し引きニュートラルだが、新興国国債の長期的なオーバーウェイトと、プロシクリカルな(景気拡張期に株価が上昇する)株式保有により、戦術的な資産配分においてゆるやかな「リスクオン」を維持している。グローバル株式におけるオーバーウェイト分をヘッジするために引き続きプット・オプションを保有している。

債券

日本円のキャッシュに対する日本10年国債のアンダーウェイトを継続する。インフレ率が上昇すると、日銀は10年国債利回りの上昇を容認すると我々はみている。クレジット市場では、年初からの大幅反発で、スプレッドは適正水準もしくは若干の割高水準まで縮小した。投資家がキャリートレードを選好し続ける限り、特に米ハイイールド債は今後も高パフォーマンスが続く可能性もあるが、現状では下落リスクの方に傾いている点を考慮すると、現在のリスク調整後リターンに投資魅力が十分にあるとは考えにくい。よって、クレジット市場にはニュートラル・スタンスを維持する。

株式

世界でも特に割高なスイス株式をアンダーウェイトとし、新興国株式とカナダ株式をオーバーウェイトとする。我々の基本シナリオでは、世界の経済成長率は長期トレンド近辺で安定し、金融政策は現在の水準から若干引き締まる程度にとどまり、米中貿易摩擦はこれ以上激化しないとみている。以上を背景に、景気循環関連銘柄が多く、かつ割安な水準にある新興国株式とカナダ株式は、スイス株式のパフォーマンスを上回るだろう。一方、オーストラリア株式に対するカナダ株式のオーバーウェイトを終了する。カナダの経済成長率は2018年10-12月期(第4四半期)にほぼ横ばいとなり、オーストラリア経済に対する相対的な優位性が薄れたと考える。

外国為替

オーストラリアとカナダの両国間の景気の乖離が縮小したため、豪ドルに対するカナダ・ドルのオーバーウェイトを終了し、利益を確定する。とりわけ、カナダ経済の2018年10-12月期(第4四半期)成長率が事前予想を下回ったため、カナダ銀行(中銀)はより慎重なスタンスを取らざるを得なくなった。一方、スイス、ノルウェー間の経済成長モメンタムと中央銀行の金融政策の乖離を根拠に、スイス・フランに対するノルウェー・クローネのオーバーウェイトを継続する。ノルウェーは、最近の世界的な金融緩和トレンドとは逆に、利上げを続けるだろう。一方、スイス国立銀行(中銀)はECBの利上げを待つと思われ、その時期は2020年第1四半期以降にずれ込む可能性が高い。



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