Investor's Guide 3月号 好材料は織り込み済み

スイス・アルプスを登る長いリフトに乗っていると、政策決定者たちの最近のハト派的コメントが、スキーヤーの熱望している降雪情報に似たものではないかと思えてくる。降雪予報は素晴らしいが、今後どれくらいの量の雪が、いつまで降るのかなど誰にもわからない。

28 2 2019

戦術的推奨

資産配分

グローバル株式は、景気後退が差し迫っているとの不安が薄れ(我々の見解も同様)、年初来で10%程度反発し、昨年12月の急落分を完全に取り戻した。株価収益率(PER)で見た株価水準は、反発後も長期平均の近辺にあり、2018年10-12月期(第4四半期)の米国企業の利益成長率は10%を上回った。米連邦準備理事会(FRB)のハト派寄りへのシフトや、プラスの市場モメンタムなどが引き続き下支え要因となっているため、債券に対するグローバル株式のオーバーウェイトを継続する。一方、世界経済の成長率見通しはここ数カ月で軟化し、世界的な貿易リスクも、直近でやや改善の兆しは見られたものの、なお払しょくされていない。我々は、株式のオプション取引で戦術的な下方リスクへの備えを継続しており、現在はS&P500種株価指数のプット・オプションを保有している。

債券

日本円のキャッシュに対する日本10年国債のアンダーウェイトを継続する。インフレ率が上昇すると、日銀は10年国債利回りの上昇を容認すると我々はみている。クレジット市場では、大半の地域で年初来のスプレッドが拡大した後、適正水準もしくは若干の割高水準にまで縮小した。米国企業の負債比率は高い(欧州企業もやや高い)が、2019年にデフォルト(債務不履行)が急増するとはみていない。米ハイイールド債は、今後6カ月でスプレッドが拡大するとみているが、トータル・リターンはプラスを維持しよう。現時点ではクレジット市場にはニュートラルの見方を維持する。ユーロ圏では、景気指標が事前予想を下回り、短期的には改善余地も限られ、さらにテクニカル面から見た見通しも厳しいことから、我々は欧州シニア・ローンの推奨を終了する。

株式

投資家は2018年末にディフェンシブ市場を物色したことから、スイス株式は現在、世界で最も割高な市場の一つとなっている。我々は、新興国株式とカナダ株式に対して、スイス株式をアンダーウェイトとしている。中国では景気刺激策が国内経済に効果を発揮し始めた。FRBはハト派姿勢を強め、コモディティ価格も上昇している。これらの材料が、売られ過ぎとみられる新興国株式のさらなる追い風となっている。さらに、オーストラリア株式に対するカナダ株式のオーバーウェイトも継続する。北米企業の業績が好調で、最近では原油価格も上昇していることから、カナダ株式のバリュエーションは特に魅力的に映る。

外国為替

スイスとノルウェーとの間で経済成長モメンタム及び中央銀行の金融政策スタンスに乖離が見られるため、スイス・フランに対するノルウェー・クローネのオーバーウェイトを継続する。ノルウェー中央銀行は利上げを続けるが、スイス国立銀行は欧州中央銀行(ECB)が利上げに踏み切るまで待つだろう。豪ドルに対するカナダ・ドルのオーバーウェイトも維持する。今後、原油価格が上昇し、カナダ経済の成長率が回復すると我々はみており、そうなればカナダ銀行(中銀)は利上げに動くと予想する。オーストラリアは、住宅価格の下落や銀行融資の引き締めなど多くの課題を抱えている。オーストラリア準備銀行は、2019年10-12月期(第4四半期)に25ベーシスポイント(bp)の利下げを実施する可能性がある。そうなると2020年前半の追加利下げも視野に入ってくる。

長期資産配分(1~4年)

今後の英国株式市場は、従来よりもボラティリティ(変動率)が上がると予想し、アンダーウェイトとしている。これに対し、米ドル建て新興国国債は、今後長期的に価値が上昇すると予想し、オーバーウェイト・ポジションを維持する。さらに、通貨ヘッジをしない形で日本株式へ投資することを推奨する。日本円は大幅な割安水準にあり、米ドル、ユーロ、スイス・フランに対して今後長期的に上昇する可能性がある。



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