House View Weekly 米中貿易摩擦をめぐるリスクに備えてポジション調整

5日のトランプ大統領の関税引き上げ表明を機に、交渉は突如後退することとなった。米国は数カ月にわたる交渉による合意内容を中国が破ろうとしていると非難し、2,000億米ドル相当の中国からの輸入品への追加関税を10日に発動した。

13 5 2019

今週の要点

1. 貿易をめぐる短期の不確実性に対応する

トランプ米大統領は、警告通り、2,000億米ドル相当の中国からの輸入品の関税 を10%から25%に引き上げた。中国は報復措置として、600億米ドル相当の米 国輸入品に追加関税を課すと発表した。米国の25%関税の対象となるのは5月 10日以降に出荷されたものに限られ、中国の報復関税措置も6月1日から発動さ れることから、米中の交渉の余地はまだ残されている。しかし、貿易摩擦の激化 を受けて、先週初め以降で米国市場は3%、中国市場は6%下落した。米中が早 期に合意に至る可能性は低下し、追加関税の発動によりボラティリティ(市場の変 動)の一段の上昇が警戒される。そこで、我々は、貿易摩擦が短期的にセンチメ ントの重石になることを想定して、ポートフォリオのリスクを抑えるために戦術的な 資産配分に2つの変更を加えた。まず、スイス株式のディフェンシブな特性を踏ま え、スイス株式に対する新興国株式のオーバーウェイトを終了する。また、米ドル に対する豪ドルのアンダーウェイトを開始する。豪ドルは景気循環的な通貨であ り、リスク回避が強まる局面では下落する傾向にある。オーストラリアは中国との 貿易の比重が大きいことから、このポジションはリスクオフ・シナリオが現実化し た場合のヘッジとして機能する。また、豪州準備銀行(RBA)が経済減速に歯止め をかけるために利下げを検討し始める可能性もあるため、リスクオンのシナリオ でも豪ドルが大幅に上昇する可能性は低い。

要点:スイス株式に対する新興国株式のオーバーウェイトを終了する。また、米ドル に対する豪ドルのアンダーウェイトを開始する。

2. 荒波への防御策を見出す

貿易摩擦の激化と市場の先行き不透明感を受けて、VIXボラティリティ指数は1月 以降で最高の水準に上昇し、下振れリスクへのヘッジ需要が高まっている。不確 実性が高まる中、我々の資産配分における反景気循環的なポジションは好調に 推移している。円は対米ドルで1%上昇し、S&P500種株価指数に対するプットオ プションの価値は上昇している。欧州投資適格債に対するイタリア2年国債のア ンダーウェイトも好調に推移している。これは、リスクオフの状況に加え、イタリア の財政赤字がEUの財政規律ルールに違反する懸念があることが背景にある。 今後は、これらのポジションを維持するほか、新たに対米ドルで豪ドルをアンダー ウェイトとする。投資家には、投資を継続しつつ、リスクに備えるため下振れリス クへのプロテクションも組み合わせることを検討していただきたい。

要点:今後のボラティリティ上昇に備えるため、カウンターシクリカルな(反景気循環 的な)ポジションも保有する。

3. ドイツの本格的な回復はまだ不透明

2018年10月-12月期(第4四半期)の先進国の製造業減速の約70%はドイツが 原因と考えられる。しかし、ドイツの経済指標の内容はまちまちで、低迷を脱した かどうかはまだ不明である。3月の独鉱工業生産は、建設と消費財生産の伸びが 寄与し、前月比0.5%増と市場の予想を大きく上回った。同月の輸出額も予想外 に好転した。しかし、ドイツの経済省は鉱工業生産は依然として低迷が続くと見込 んでおり、3月の製造業新規受注も予想の1.5%増を大きく下回る0.6%増にとどま った。ユーロ圏株式はマクロ経済の回復をすでに大方織り込み済みとみられる。 貿易をめぐる不透明感の再燃が企業の設備投資と製造業製品の需要を圧迫す る可能性があり、自動車関税が発動された場合も回復に水を差すおそれがある。

要点:ユーロ圏株式に対して日本株式をオーバーウェイトとする。



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