Monthly Letter1月号 悲劇の誕生?

現在の市場で起きている「冷静な分析」と「情緒的判断」の対立をみていると、フリードリヒ・ニーチェの書『悲劇の誕生』を思い出す。このドイツ人哲学者は、ギリシャ悲劇を理性的思考の神「アポロン」と、本能と情緒の神「ディオニュソス」との対立軸で説明する。米連邦準備理事会(FRB)、政治家、投資家は、この「アポロン対ディオニュソス」的な内部対立に直面している。

13 12 2018

現在の市場で起きている「冷静な分析」と「情緒的判断」の対立をみていると、
フリードリヒ・ニーチェの書『悲劇の誕生』を思い出す。このドイツ人哲学者は、ギリシャ悲劇を理性的思考の神「アポロン」と、本能と情緒の神「ディオニュソス」との対立軸で説明する。相反する力のどちらが議論を制するのかで争う。

自称「関税マン」のトランプ米大統領は、米国を景気後退に追いやり、再選の芽
をつぶす通商政策で、自身の政治的悲劇をつくり出すのだろうか?それとも、
「交渉による偉大な合意」はすぐそこまで来ているのだろうか?米連邦準備理
事会(FRB)は、低位のインフレ率、相場変動、大統領からの圧力を考慮し、利上げを一時的に中断する判断を下すのか?それとも、ペースを崩さずに利上げを
進めることで、3人のFRB議長にわたり慎重に進められてきた金融政策正常化
へのこれまでの成果を台無しにしてしまうのか?市場は堅固なファンダメンタ
ルズ(経済の基礎的諸条件)を再び重視するのか?それとも、このまま市場セン
チメントに左右される状況が続くのか?現時点での市場の不安は、ディオニュ
ソス(情緒面)が優勢だ。つまり政策の失敗、または失敗への不安からリスクプ
レミアムが上昇し、景気拡大と強気相場が抑えられている状況だ。

とはいえ、利益を得るためには、政策の誤りかセンチメントの悪化で景気が低
迷する事態に備えたポジション取ることだと確信しているわけではない。今後
6カ月の株式市場は下がるよりも上がる確率の方が高いと判断し、戦術的資産
配分ではオーバーウェイト・ポジションを維持する。中期的には、マスコミ報道
ではなく経済データを追うことが、市場を乗り切る優れた戦略だということは
実証済みである。FRBは今後12カ月で景気後退に陥るリスクは約20%程度で、
インフレは抑制されるとみており、我々は概ねこの見方に賛同する。この文脈の
中でグローバル株式の実績ベースの株価収益率(PER)をみると、長期平均の
18.3倍に対して現在15.5倍と、バリュエーションはリスクを既に織り込んだ水
準にみえる。




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