Monthly Letter 9月号 消耗資産

トランプ政権は昨年発表した戦略文書の中で、中国の経済成長と影響力に関する幅広い懸念を表明している。攻撃的な米国の通商政策の影響で、中国当局による秩序ある債務削減の取り組みは今後難しくなるだろう。中国からの資本流出、外貨準備高、経済成長率は、中国への圧力がグローバル市場に波及するかどうかを示す指標となるだろう。地政学リスクが高まる中、我々はグローバルな戦術的資産配分を概ねニュートラルに据え置く。

23 8 2018

1950年代前半、米国の安全保障の主流派は、核優位という「消耗資産」をどう維持すべきかについて議論を交わし、ソビエト連邦が水爆を開発する前に先制核攻撃を仕掛けることさえも検討していた1。

70年後の現在、トランプ政権は、米国の相対的な経済規模と地政学上の影響力という別の消耗資産を、中国の台頭を前にどう守り抜くかを検討している。中国経済は今後20年以内に米国を追い抜く見通しで2、測定基準によっては中国の経済規模はすでに米国を上回っている(図表1参照)。

トランプ政権が昨年発表した戦略文書の中で、米国は中国について、「米国の価値と利益の対極にある世界を作ろうとし……インド・太平洋地域で米国に取って代わろうとしており、国家主導の経済モデルの影響圏を拡大し、この地域を自国に有利なように再秩序化している3」と指摘している。アジア市場がここ最近軟調に推移しているのは、米中間の貿易紛争が中間選挙までに一つの「ディール(取引)」として解決される見込みが薄いと市場が織り込み始めたことも一因だろう。

一方、中国側も独自の時間的な圧力にさらされている。中国政府は、20年に及ぶ目覚ましい成長を経て、経済成長のリバランス、次世代産業の開発、公的債務の対GDP比率の引き下げといったさまざまな政策課題を、グローバル経済が後退局面に入る前にすべて成し遂げようとしている。




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